日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒラマメ」の意味・わかりやすい解説
ヒラマメ
ひらまめ / 扁豆
兵豆
[学] Lens culinaris Medik.
Lens esculenta Moench
マメ科(APG分類:マメ科)の一、二年草。豆を食用や飼料とするために栽培される。茎は細く、立ち上がり、多くの枝を出す。草丈は50センチメートルほど。葉は4~7対の小葉が対生する羽状複葉で、葉先はつる状になる。葉腋(ようえき)から長い花柄を出し、2~4個の花を開く。自家受精し、花期後、莢(さや)は長さ1~3センチメートルに伸び、中には凸レンズ状の平たい種子が1~2個ある。このため別名をヘントウ、レンズマメともいう。大粒種と小粒種とがあり、大粒種は種子の直径6~9ミリメートル、花は白色、まれに青色で、地中海沿岸やアフリカ、小アジアに分布する。小粒種は種子の直径3~6ミリメートルで花は紫青色や白色、また淡紅色のものもあり、西南アジアから西アジアに分布する。原産地は西アジア。現在ではおもにインドやトルコ、シリアなどで栽培される。豆をひき割りや製粉し、スープにしたり、穀物の粉と混ぜて焼いて食べる。また炒(い)ってコーヒーの代用とする。全草は上質な飼料ともなる。若い葉や莢をインドでは野菜とする。
[星川清親 2019年11月20日]