改訂新版 世界大百科事典 「ヒルギダマシ」の意味・わかりやすい解説
ヒルギダマシ
Avicennia marina (Forsk.)Vierh.
海岸のマングローブ林内に生えるクマツヅラ科の常緑小高木。根は泥土の中を水平に走って,多数の呼吸根を垂直に地表に出す。若枝は鱗片状の毛があって灰白色。葉は対生し,倒卵状長楕円形で,長さ4~8cm,全縁で先が円く,革質で表は光沢があり,裏には鱗片状の毛が密生して灰白色。枝先に小型の頭状花序を集散状につけ,小さな黄花をつける。萼は長さ約3mm,5深裂し,裂片は鋭頭で縁に毛がある。花冠は径約5mm,平開して基部には短い筒がある。おしべは4本,花筒の喉部(こうぶ)につき,花糸はごく短い。めしべは1本で,子房には密に毛があり,花柱は短くて先が2分する。果実は卵円形で長さ1.5~2.5cmになり,表面には灰白色の毛が密に生え,熟すと2裂して,中に1個の種子がある。宮古島以南の熱帯アジアから東南アジア,オーストラリア,東アフリカに分布する。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報