日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルギダマシ」の意味・わかりやすい解説
ヒルギダマシ
ひるぎだまし / 蛭木騙
[学] Avicennia marina (Forssk.) Vierh.
クマツヅラ科(APG分類:キツネノマゴ科)の常緑低木。マングローブ(紅樹林(こうじゅりん))の構成種の一つで、海岸や河岸の泥湿地に生え、林の海側前縁を占める。本種の著しい特徴は、奇観を呈する直立呼吸根にある。砂泥中を長く横走する側根は四方に広がり、そこから多数の鉛筆大の直立呼吸根を地上に出す。呼吸根の地上の高さは約10センチメートル。幹は灰白色でほとんど直立せず、多くの分枝を横に伸ばし、刈り込まれたような樹形となる。葉は革質で対生し、倒卵状長楕円(ちょうだえん)形または卵状長楕円形で長さ4~8センチメートル、全縁で裏面は白毛を密生する。花冠は白色で径2~4ミリメートル。果実は卵円形で長さ約2センチメートル、灰白色の毛を密生する。名は、全体がヒルギに似ることによる。熱帯アジア、オーストラリア、東アフリカに分布し、北限は宮古島である。
[島袋敬一 2021年10月20日]