ビエルタン(英語表記)Biertan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビエルタン」の意味・わかりやすい解説

ビエルタン
Biertan

ルーマニア中央部山岳地帯,トランシルバニア地方ムレシュ県の町。 12~13世紀にハンガリー王に招かれて移ってきたドイツ系住民 (ザクセン人) たちによって開かれた町で,15世紀にはこの地方の商業の中心地として栄えた。 15世紀後半に入りオスマン帝国の勢力が北に拡大し始めると,この地方の他の町々と同様,ビエルタンも侵略への備えを着々と進めていった。ただし町全体を防壁で囲むのではなく,小高い丘の上の聖堂を拠点とし,その周囲に食糧の備蓄倉庫を設けるというものであった。要塞化した聖堂の防壁は 17世紀には3重になっていた。幸いにして攻撃を受けることはなく,聖堂も町もそのままの姿で今日にいたっている。 1867年まで司教座が置かれていたこともあり,この聖堂近くには司教たちが眠る霊廟がある。聖堂の祭壇に飾られた聖母に捧げられた 19枚の装飾板と,聖堂入口扉に取り付けられた精巧なかんぬきが有名。共産主義政権崩壊後,ドイツ系住民の転出が急増している。 1993年聖堂を中心とする町域が世界遺産の文化遺産に登録。

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