改訂新版 世界大百科事典 「ビテルボ」の意味・わかりやすい解説
ビテルボ
Viterbo
イタリア中部,ラチオ州の都市。人口5万7830(1981)。ラテン語読みではウィテルボ。標高325mの高台にあり,農産物取引,製めん,皮革加工が盛んである。エトルリア起源といわれ,ビテルボという呼称は7世紀以降。1167年,フリードリヒ1世は自治都市ビテルボに多くの特権を与え,町はローマ北部地域で最も強大な都市に発展し,92年に司教座都市になった。ビテルボをめぐって,教皇庁と神聖ローマ帝国の紛争が始まり,ビテルボの豪族間の争いを利用し,1240年皇帝フリードリヒ2世は町を領有したが,彼の死後,教会の支配にゆだねられた。ローマ市の自治を脅かそうとして,ローマ市民の反感を買った教皇アレクサンデル4世は,57年ビテルボに避難し,その後81年まで,歴代教皇がここに滞在した。この町で教皇選挙会コンクラーベが開かれ,ウルバヌス4世からマルティヌス4世までの教皇が選出されている。
執筆者:町田 亘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報