改訂新版 世界大百科事典 「ビワハゴロモ」の意味・わかりやすい解説
ビワハゴロモ (琵琶羽衣)
半翅目ビワハゴロモ科Fulgoridaeの昆虫の総称。おもに熱帯地方や亜熱帯地方に分布し世界から500種以上が知られている。大型の種が多く南アメリカ産のLaternariaのように翅の開張が15cmに達するものがある。翅に美しい色彩や紋様を有する種が多い。頭部が前方に大きく突出し奇妙な形状を有するものがあり,英名でlantern flyと称せられる。この突出部は発光すると考えられたことがあるが実際はそのようなことはない。
台湾に産するワタナベビワハゴロモFulgora watanabeiはナンキンハゼの樹幹で見つかるが,多くの種は種々の樹木に寄食すると思われる。日本からはシタベニハゴロモLycorma delicatulaが記録されているが生息は疑問視されている。本州西部,四国,九州に分布するハウチワウンカTrypetimorpha japonicaは以前ビワハゴロモ科に属すると考えられていたが,最近はグンバイウンカ科に移され,日本に確実に産するビワハゴロモ科はない。人間との関係はあまりないが,中国ではFulgora属の種が薬用に用いられることがあるほか,美しい種が多いため収集の対象とされる。
執筆者:堀 義宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報