フィランソロピー

大学事典 「フィランソロピー」の解説

フィランソロピー

ギリシア語では人類愛を意味するが,大学との関連では篤志家財団等による寄付,とくに19世紀最後の4半世紀アメリカ合衆国で大学新設に向けて巨額を寄付した富豪の行為を指す場合が多い。急激な産業発展による富の蓄積と,科学の発展こそ人類の幸福を確約するという信仰が結合し,ジョンズ・ホプキンズ,リランド・スタンフォード,ジョン・ロックフェラー(シカゴ大学)等が大学を一挙に新設できる巨額を寄付した。寄付行為の一部はその後カーネギー財団等の組織へ移管され,今日も大学への影響力をもつ。しかし,今や大学の膨大な収入に占める寄付の割合は数パーセントで,授業料や連邦政府補助金,基金運用益,州の支出金(州立大学)等に及ばない。過去の半世紀,州立研究大学の収入に占める州支出金の割合は大幅に減少し,ミシガン大学(アメリカ)では現在授業料の36%に対して,8%に満たない。にもかかわらず,州立大学(アメリカ)もフィランソロピーへの期待を高めるばかりである。
著者: 立川明

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィランソロピー」の意味・わかりやすい解説

フィランソロピー
philanthropy

文化や福祉の支援活動など民間企業が行なう社会的な公益活動。フィランソロピーは博愛,慈善の意。欧米では企業の利益の一部は社会に還元するのは当然という考え方があり,税引き前利益の1%をフィランソロピーの目途としている。特にアメリカではこれが 1.6%にも上っているのに対し,日本では 0.3%にすぎない。しかも日本の企業の寄付や資金提供は,自社広告などの見返りを期待したものが多い。この点が経済大国でありながら「文化発展途上国」といわれるゆえんであるが,近年,経団連も利益の1%を社会への貢献に寄付する「1%クラブ」運動を推進しており,社会貢献のための部署を設ける企業も出てきた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む