改訂新版 世界大百科事典 「フィンランド湾」の意味・わかりやすい解説
フィンランド湾 (フィンランドわん)
Gulf of Finland
フィンランドの南,エストニア共和国の北にある湾で,バルト海に続いている。フィンランド語でSuomenlahti,ロシア語でFinskii zaliv。長さ約400km,幅50~120km,約2900km2の海域で,ハンコ半島とオスムス島の線を湾口とみなしている。平均水深は約36m。ふつう11月中旬ころに湾奥から氷結が始まり,1~2月に湾口に達する。氷の厚さはヘルシンキの沖で20~50cm。5月には氷がなくなる。海流は南岸沿いに東へ向かい,北岸を西へ流れる。干満による水位の差はあまり大きくなく,湾の奥で約20cm,その他では10cm以下がふつうである。湾岸のおもな都市には,フィンランド側にハンコ,ヘルシンキ,ハミナなど,ロシア側にビボルグ,サンクト・ペテルブルグ,タリン(エストニア共和国)などがある。フィンランド湾とラドガ湖は,東方に向かったバイキングたちの重要な通路であり,その後もバルト海地域での通商の強力な軸となった。今日ではボルガ・バルト水路により,ボルガ水系とも結ばれている。
執筆者:荻島 崇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報