タリン(読み)たりん(英語表記)Tallin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タリン」の意味・わかりやすい解説

タリン
Tallinn

エストニアの首都。旧称レーベリ Revel',ドイツ語名レーバル Revalバルト海フィンランド湾に面する港湾都市。紀元前より要塞集落が存在し,12世紀には記録に現れている。 1219年デンマーク王バルデマール2世占領,エストニア人のつくった砦の跡に城を築いた。 1285年ハンザ同盟に加わり,貿易港となって発展。 1346年バルデマール4世は市をドイツ騎士団に売り渡し,1561年スウェーデン領,のち衰退した。 1710年ロシア領となり,皇帝ピョートル1世はここにバルチック艦隊の根拠地を築いた。 1918~40年は独立したエストニアの首都,その後エストニアのソビエト連邦編入に伴ってソ連領となり,1991年独立とともに首都となった。同国最大の貿易港であるとともに工業の中心地で,コフトラヤルベからパイプラインで送られる石油,ガスを利用し,電気機器,掘削機,ケーブル,船舶修理,製紙,家具,織物,魚類缶詰などの工業が発達。近郊に新しい住宅地が発展。工科,芸術,教育などの大学エストニア共和国科学アカデミー,キンギセップ記念アカデミー劇場,野外住居博物館など多くの教育・文化施設がある。またトンペア城,聖ニコライ聖堂,聖オライ聖堂,ギルドホール,市庁舎など 13~18世紀の古い建築物が保存される旧市街は,1997年世界遺産文化遺産に登録された。鉄道ハイウェー分岐点で,空港もある。人口 39万9340(2010)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タリン」の意味・わかりやすい解説

タリン
たりん
Tallin

エストニア共和国の首都。フィンランド湾に面し、湾を挟んでヘルシンキ対峙(たいじ)する位置にある。人口40万3981(2000)。ドイツ語名レーバルReval。エストニア共和国の政治、経済、文化の中心地。バルト海の重要港湾の一つで、大規模な港湾施設をもつ。軍事的にも重要で、造船所をはじめ海軍軍事施設がある。電気機械、紙、パルプ、家具、繊維、皮革、ピアノを生産する工業都市でもある。古い歴史のある都市で、デンマーク王バルデマー2世が1219年に要塞(ようさい)を建設した。ヨーロッパとロシアの海上貿易の中継地として地理的に優れた位置にあるため、13~14世紀にはバルト海沿岸の大都市に発展した。13世紀末にはハンザ同盟に加盟し、貿易港として発展したが、1346年にチュートン騎士団の手に落ち、のちにスウェーデン、ロシアと支配者が変わった。1918年には独立したエストニア国の首都となり、レーベリRevel'とよばれた(1940まで)。40年ソ連邦に編入。第二次世界大戦中ドイツ軍に占領され、重大な戦禍を受けた。エストニアは、91年にはふたたびソ連からの独立を達成した。市域は次の三つの地区からなり、歴史的建造物が多い。13~14世紀の城塞のある丘陵地区、14~16世紀に建造された城壁に囲まれた旧市街、その外側に広がる新市街の3地区である。科学アカデミー、各種研究所、大学、劇場、博物館など文化施設も多い。1997年に旧市街は世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[山本 茂]

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