日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェルグソン石」の意味・わかりやすい解説
フェルグソン石
ふぇるぐそんせき
fergusonite-(Y)
放射能鉱物の一つ。ベータフェルグソン石(β-fergusonite)とは同質異像関係にあり、合成実験ではその低温相に対応する。花崗(かこう)岩質ペグマタイト中に、錐(すい)面と柱面とからなる柱状結晶をなし、両者の境界線が斜めになるのが特徴の一つ。日本では福島県川俣(かわまた)町、京都府京丹後(きょうたんご)市のものが有名。放射能の根源はおもに少量成分として含まれるウランに起因するが、これは本質的な成分ではない。しかしつねに含有されている。英名はスコットランドの物理学者ファーガソンRobert Ferguson(1767―1840)にちなむ。
なお、英名の語尾につけられた記号は、構成成分中イットリウム(Y)がもっとも多量に含有されていることを示すもので、現行の日本の習慣としては、原記載のものはそのままを和名とし、フェルグソン石についていえば、すでに知られているfergusonite-(Ce)およびfergusonite-(Nd)の和名をそれぞれセリウムフェルグソン石、ネオジムフェルグソン石とよぶようになっている。
[加藤 昭]