翻訳|cleavage
結晶に機械的な力を加えると特定の結晶学的な面に沿って割れ,平滑な面が出現することがある。この現象をへき開といい,出現した面をへき開面と呼ぶ。これは脆性(ぜいせい)破壊であり,へき開しやすい結晶はもろい。へき開面は結晶を構成する原子の配列で規定されていて,原子密度が高い面が通常へき開面となる。結晶構造が同一である結晶間では,へき開面も同じ結晶面となる。へき開の程度には雲母や石墨や方解石のように,完全で明瞭なものから,水晶やザクロ石のように,ほとんどへき開しないものまである。へき開面は結晶の成長による外形面のどれかと一致することが多い。へき開面とすべり面も同一であることが多いが,必ずしも一致しない。へき開の形成機構については転位論によるモデルがいくつか提唱されている。
執筆者:小松 啓
岩石が数十μmから数cmの間隔で平行にスライス状に薄く割れやすいとき,その面および面構造をいう。泥岩や凝灰岩などの細粒岩に発達することが多い。岩石が力を受けて変形したときに形成されるといわれ,一般に層理面と斜交し,褶曲軸とほぼ平行である。したがって,ケツ岩に見られるような,堆積の過程で生じた層理面に平行な剝離面は,これに含めない。ふつう,破断へき開,スレートへき開,ちりめんじわへき開の3種に大別する。破断へき開は,間隔数mm~数cmの,ごく密に生じた節理ないし微小断層で,後2者と異なり,鉱物がこれと平行に配列することはない。均質な非変成の泥岩に見られることが多い。スレートへき開は,細粒の弱変成岩に見られるへき開で,イライトなどの微細な葉片状鉱物の平行配列からなる。力を加えられた方向(正確には最大圧縮ひずみの主軸)に直交する方向に粒子が並び直したり,新しく鉱物が成長したりして形成されると説明されている。したがって,ある程度温度と圧力の高いことが必要条件となる。ふつうのスレートでは,その中に含まれている化石や礫などがへき開面に平行に押しつぶされて扁平になっており,その形状から,へき開面に直交する方向に70%も短縮したことがわかる。この短縮に伴って,地層は激しく褶曲し,スレートへき開面を褶曲軸面とする,いわゆる剪断褶曲が形成される。ちりめんじわへき開は,低度~中程度の変成岩のうち,層面片理のよく発達する岩石にみられ,細密褶曲へき開ともいう。層面片理は互いに平行な軸面をもつ波長数百μmの微褶曲を繰り返しており,ちりめんじわへき開はその軸面に平行である。層面片理を明白に切ってずらしているものから,ずらしてはいるものの片理はまだつながっているものまで,いろいろな種類がある。へき開の間隔はスレートへき開よりやや大きく100μm~数百μmある。スレートへき開と漸移することもあり,それよりもより温度圧力条件の高いところで形成されたと考えられている。
執筆者:岩松 暉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(1)cleavage
結晶に力を加えると必ず割れるが,結晶構造の特徴に従って割れる性質を劈開,割れた比較的平らな面を劈開面という。その程度により完全,良好,明瞭,不明瞭などと表す。原子配列の密な面と面の間隔は長い。例えば,グラファイトのC-C距離は{0001}面内では短いが,それに垂直な方向には長く結合力が弱い。したがって{0001}面と平行に割れやすい。最も硬いダイヤモンドでも,{111}面と平行に劈開はある。石英はSiO4の四面体が三次元的に配列しており,方向による割れやすさの違いは少ないが,稜面体面および柱面に沿って割れやすい。
執筆者:秋月 瑞彦
(2)cleavage, rock cleavage
変形作用によって岩石に二次的に生じた細密な面状構造。層理面などの初生的な面を変形させた劈開領域を(劈開の)ドメイン,ドメインによって挟まれた板状の部分をマイクロリソンと呼ぶ。劈開の分類についてはさまざまな意見がある。C.K.Leith(1905)は,鉱物の定向配列性により発達した劈開を流動劈開(flow cleavage),破断に伴う劈開を破断劈開(fracture cleavage)と区分。A.H. Chidester(1962)の記載的な分類によれば,microscopicに前者は連続的な劈開(continuous cleavage)で,後者は不連続な劈開(spaced cleavage)である。C.McA.Powell(1979)は,層理面を再配列(変形)させることなしにドメインが発達する劈開をdisjunctive cleavage, ドメインと層理面との間に連続的な変形(微褶曲)がみられる場合を細密褶曲劈開(crenulation cleavage)と区分した。さらにdisjunctive cleavage をドメインの間隔により,間隔が肉眼で観察可能なものをspaced cleavage,顕微鏡下でのみ識別可能なもの(通常1mm未満)をスレート劈開(slaty cleavage)と細分した。層理面との幾何学的関係においては,層理面に平行なものを層面劈開(bedding cleavage),褶曲に伴って発達した褶曲軸面にほぼ平行なものを軸面劈開(axial plane cleavage)と呼ぶ。形態的には平面状,曲面状,網状(anastomose),縫合(sutured)など,さまざまである。劈開を特徴づける鉱物としては,フィロ珪酸塩の配列が最も有効である。劈開の形成機構については,圧力溶解などの岩石と水の相互作用,粒子の回転,粒界すべりなどが重要視されている。岩石の劈開はコンピテンシーの異なる岩相の間でその方位が屈折(cleavage refraction)し,コンピテンシーが徐々に変われば湾曲する。W.D.Conybeare et al.(1822)によって最初に定義。
執筆者:高木 秀雄
参照項目:劈開転位
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
固体結晶質物質において、その原子配列と直接関係するとして説明される、特定方向に沿って割れやすい性質。これを記載するには、その方向については、結晶面と同様にミラー指数を用いた表現形式で示し、発達の度合いについては、完全、明瞭(めいりょう)、良好、不完全などの用語を用いる。また、存在しない場合は単に「無」として示す。
なお、一般の教科書では、方向の表現形式をまず方向の数で与え、その結晶学的方位を与える。したがって、たとえば岩塩の場合、通常の記述によれば「{001}(あるいは{100},{010})に完全」とのみ示されている。これは上の三つの方位が等軸晶系では同価であるため一つでよいが、実際は三方向であるので、一般的感覚からするとわかりにくい。そこで、本事典の鉱石・鉱物の解説では、混乱を防ぐため「三方向に完全」というように示している。
ごく少数の例を除き、劈開面は結晶面としてもよく出現する。また六方晶系(または三方晶系)の鉱物では、6回(または3回)対称軸に平行な劈開面は原則として発達しないが、もし発達していれば、それは比較的単純な組成のものであるという経験則もある。劈開は、それが発達している結晶質物質については一つの固定的属性であるが、これに似た性質の裂開(れっかい)は、特定の産地や産状(人工物であれば製造方法)のものに限って出現する一見劈開様の外観をもった割れ方のことである。劈開には、石墨(せきぼく)や雲母(うんも)のように、つねに外観上に現れているものと、トパーズやダイヤモンドなどのように、見ただけでは存在の明らかでない場合とがあり、一般に前者は低硬度の物質、後者は高硬度の物質にみられる。
[加藤 昭]
軾〔正輔表兄と同(とも)に白水山に遊ぶ〕詩
峽を劈開して、雲雷走り 
を截破(せつぱ)して、
洞と作(な)す字通「劈」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…多細胞動物の受精卵が行うやつぎばやの細胞分裂の過程。受精の結果として生ずる受精卵は1個の巨大細胞であり,これがひたすらDNA合成と細胞分裂を繰り返すことによって,多数の正常な大きさの細胞を生じ,個体発生の基本となる多細胞環境を短時間のうちにつくりだす。 卵の細胞質には,あらかじめ卵割期およびその後の形態形成の過程を維持するためのエネルギーや情報が大量に蓄えられており,新たな細胞質の合成は卵割期を通じてほとんど行われない。…
※「劈開」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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