日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォトコピー」の意味・わかりやすい解説
フォトコピー
ふぉとこぴー
photocopy
一般的には、写真技術を応用した複写機器によって書類などを複製する場合すべてをいうが、最近では、論文などの著作物を複写機器で複製する場合に多く使用される用語となっている。
著作権には複製権が含まれているので、著作物を複製する場合には、原則として著作権者の許諾が必要である。しかし、これには例外があり、私的使用のための複製、図書館における利用者の求めに応じての複製(ただし、この場合は、公表された著作物の一部分の複製物を1人につき1部提供する場合に限る)、学校その他の教育機関における授業に使用するための複製など、一定の場合には著作権者に無断で複製することが認められている。ただ、フォトコピー機器の発達とその普及により、だれでも簡単にしかも廉価で複製が可能となり、私的使用などの目的で盛んに著作物の複製が行われるようになったため、書籍・雑誌の売上げが減少し、これによって著作権者や出版社の利益が損なわれるという事態が生じた。このような権利や利益の侵害に対して、日本では1991年(平成3)に日本複写権センターを設立した(2012年に名称を日本複製権センターと改称)。同センターは、著作権のうちコピーにかかわる権利の行使について委任を受け管理し、複写使用料を徴収・分配するという、著作権者とコピー利用者との間で合法的にコピーが行える複製権の集中処理機関である。
[半田正夫]