模擬飛行装置と訳されることもある。乗員の操縦訓練などのため,航空機の運動と同じ状態を地上でつくり出す装置。基礎練習用の簡単なものを含めさまざまな種類があるが,ふつう航空会社などで使われているものは,実機の操縦室と同じものを駆動支持架の上にのせ,コンピューターによって実際の飛行どおりの運動を行わせるようになっている。高級なものでは音響装置および模擬視界装置がついていて,エンジン音,ブレーキ音,雷鳴から,昼夜・明暗の変化,滑走路の灯火,誘導員の姿にいたるまで,運航中に乗員が体験するあらゆる事象を忠実に具現しうるようになっており,墜落以外のシミュレーションはすべて可能といわれるほど高い機能をもっている。シミュレーターでは実際の飛行訓練ではのぞめない危険な状況もつくり出せるし,任意の天候,任意の空港が設定できるので効率的な訓練ができる。また,燃料が不要で整備も小範囲なので訓練経費が実飛行の1割程度ですむうえ,騒音が出ない利点もある。したがって,航空会社のみならず行政当局も積極的にその利用をすすめている国が多く,世界的に,機能の高いシミュレーターを使用している航空会社に対しては,乗員訓練や試験の大部分をシミュレーターで行うことを認め,実機による訓練を大幅に免除する傾向にある。シミュレーターは宇宙飛行の訓練などにも使用されるほか,新しく航空機を開発するさいの試験・研究や航空事故の調査などにもしばしば利用される。なお,広義にはCPT(cockpit procedure trainerの略。操縦手順訓練装置)やMTS(maintenance training simulatorの略。整備訓練装置)などもシミュレーターのうちに含まれるが,これらはフライトシミュレーターと違って動かず,操作の手順のみを練習させる簡易な装置である。
執筆者:関川 栄一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…これらの欠点を除くためにディジタル技術を導入したり,ディジタルコンピューターを接続してデータ処理性の改善,精度の向上を図ったハイブリッドコンピューターが生まれた。 アナログコンピューターの用途としては,計算速度が速いためにパラメーターを変えることに対して解の変化を容易にとらえることができるので,自動制御などのダイナミックな系の設計やフライトシミュレーター等各種のシミュレーターに用いられた。現在はいずれもディジタルコンピューターに置き換えられている。…
※「フライトシミュレーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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