フロルカン(その他表記)Marcel Florkin

改訂新版 世界大百科事典 「フロルカン」の意味・わかりやすい解説

フロルカン
Marcel Florkin
生没年:1900-79

ベルギー生化学者。リエージュで生まれ,リエージュ大学で医学を修めた後,ハーバードミュンヘンケンブリッジカリフォルニアなどの大学で研究。1937年リエージュ大学生化学研究所長。国際生化学連合ほか多くの学術組織の会長などを歴任。イギリスのボールドウィンとともに比較生化学,進化生化学の開拓者の一人で,《進化生化学》(1944)は初期の代表作。生理学史や生化学史の研究や著作もあるが,《比較生化学》《総合生化学》など包括的な論集の編集者としても著名。生化学と進化・生態学などの概念の統合をはかって,分子レベルの相同にあたる概念イソロジーisology(相等),フェロモンのような個体間作用物質を呼ぶためのエコモンecomonなどの用語も提唱した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロルカン」の意味・わかりやすい解説

フロルカン
ふろるかん
Marcel Florkin
(1900―1979)

ベルギーの生化学者。リエージュ大学生化学教授であり、また国際生化学連合の初代会長を務めたほか、国際医学史学会会長、国際科学史学会副会長でもあった。無脊椎(むせきつい)動物の体腔(たいこう)液や血液などの無機塩の組成アミノ酸やタンパク質の組成や濃度を調べ、それらの代謝や酵素系、また淡水産動物の体腔液の浸透調節などの研究を行った。とくに生物の進化の立場から動物の代謝系や酵素系を比較する比較生化学や進化生化学の分野の論文が多い。1944年出版の『生化学的進化』Evolution biochimiqueは各国語に翻訳されている。1962年から刊行されている34巻の『生化学解説』Comprehensive Biochemistryの編集者である。

[宇佐美正一郎]

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