フーチョウ特別市(読み)フーチョウ(その他表記)Fuzhou

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フーチョウ特別市」の意味・わかりやすい解説

フーチョウ(福州)〔特別市〕
フーチョウ
Fuzhou

中国華東地方,フーチエン (福建) 省の省都。市区のほか8県から成る。省の中部を流れるミン (閩) 江下流フーチョウ平原にあり,ミンホウ (閩侯) 県を含む。市街地はミン江北岸にあるが,川中のナンタイ (南台) 島にも広がっており,下流に外港のマーウェイ (馬尾) をもつ。漢代に冶県がおかれ,隋代に 閩県となり,唐初福州の治所となった。明・清代にはフーチエン省の省都。省面積の2分の1を流域とするミン江水運の出入口として,古くから商港として知られたが,アヘン戦争後開港して重要貿易港の一つとなった。ガジュマル (榕樹) の大木が多いことからロンチョン (榕城) とも呼ばれる。工業化が進み,電機,工作機械,精密機器,輸送機械などの機械工業,硫酸類,化学肥料,各種薬品などの化学工業のほか綿紡績,絹織物,建築材料,化学繊維,製紙,食品など多分野にわたる。周辺の農村部ではイネサツマイモのほか柑橘類,水蜜桃,オリーブ,マツリカ (ジャスミン) などの栽培が盛んである。伝統工芸も多く,脱胎漆器と三日月型の櫛,雨傘は「福州三宝」と称せられ,そのほか木彫,竹細工石彫,軟木画,造花,象牙彫刻などが知られる。文教施設はフーチョウ大学などがあり,省の文化の中心地である。ナンフー (南福) 鉄道によってインシヤ (鷹厦) 鉄道に通じ,マーウェイ港との間にもフーマー (福馬) 鉄道が通じている。マーウェイには1万t級船舶の繋留施設や造船所がある。人口 534万 934,うち市区人口 140万 2581 (1990) 。

フーチョウ(湖州)〔特別市〕
フーチョウ
Huzhou

中国華東地方,チョーチヤン (浙江) 省北部,タイ (太) 湖南岸の市。市区とチャンシー (長興) 県など3県から成る。タイ湖にのぞむ平野は,省内第1の稲作地。ヒツジが飼育され,フー (湖) 羊と呼ばれて良質の毛皮で知られる。堤防上ではクワが栽培され,絹織物業が盛ん。湖筆と呼ばれる毛筆の産でも知られる。機械などの工業がある。交通は水運を主としていたが,1972年,省都ハンチョウ (杭州) 市との間に鉄道が開通した。人口 244万 9946,うち市区人口 102万 7564 (1990) 。

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