造船所(読み)ゾウセンジョ

デジタル大辞泉 「造船所」の意味・読み・例文・類語

ぞうせん‐じょ〔ザウセン‐〕【造船所】

船舶建造改造修理などを行う工場

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精選版 日本国語大辞典 「造船所」の意味・読み・例文・類語

ぞうせん‐じょザウセン‥【造船所】

  1. 〘 名詞 〙 船舶の新造、改造、艤装(ぎそう)、修理などをする工場。造船場
    1. [初出の実例]「川崎庄蔵氏が発起にて造船所并に船揚場を設けんと」(出典:朝日新聞‐明治一二年(1879)九月二四日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「造船所」の意味・わかりやすい解説

造船所
ぞうせんじょ

船の建造と修理を行う工場。船のほかにも海底油田探査・掘削用作業台(プラツトホーム)、プラント搭載用バージなどの海洋開発構造物や、橋梁(きょうりょう)など陸上の大型建造物もつくっている。大量の鋼材の搬入、建造・修理の船の進水や出入港のために、海、湖、河川に沿って設けられる。造船所の外観で目だつのは巨大なクレーン船台ドックである。ドックは進水に便利なので、修理だけでなく大型船の建造にも用いられる。設備は鋼材加工の流れに従って、水切り場、鋼材置場、ショットブラスト・けがき(罫書)・切断・機械加工・組立ての各工場、船台またはドック、艤装(ぎそう)岸壁の順に配置されている。水切り場は船で搬入される鋼材の陸揚げ場、ショットブラスト工場では砂や細かい鋼球を鋼材に吹き付けてさびや汚れを落とす。ブロック建造以前の造船所には、艤装(ぎそう)工程として板金・管・機械・銅・木・船具の各工場がそろっていた。最近では機器類や機器台、木材製品、内装板などはほとんど外注に変わり、ボイラータービン、ディーゼル機関、減速歯車なども所内の機械工場でつくらずに購入する造船所が増えた。したがって、艤装工事は組立て、取り付け、機能の調整が主になっている。造船は多種多様な材料物品の複雑な合成だから、適切な時期に必要な物品が納入されないと、関連する工事がすべて止まってしまう。また、早く納品されすぎても造船所が巨大な物置場になる。そのため、契約と同時に、起工、ブロックの組立てと船台への搭載、進水、主機関など主要機器の装備などの日程にあわせて、購入品の発注計画がたてられる。工事の計画が狂うと、同時進行している他の船の建造にまで影響する。品質、船価、納期を直接左右する生産管理は、造船所においては工事そのものにも劣らない重要性がある。

[森田知治]

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百科事典マイペディア 「造船所」の意味・わかりやすい解説

造船所【ぞうせんじょ】

船の新造,修理を行う工場。船体建造,艤装(ぎそう)のほか舶用機関を製造する造船所もある。立地条件は,海や川に面した平たん地で,進水,係留に十分な接水面と水深をもつこと,主要工業地帯に近接し輸送に便利なことなど。船台およびドック,艤装岸壁などを中心に,鋼材の加工工場,溶接工場,鋳造・鍛造工場,機械工場,艤装品工場などが,工程の流れに従って合理的に配置される。
→関連項目造船

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「造船所」の意味・わかりやすい解説

造船所
ぞうせんじょ
dockyard

船舶を建造または修繕する工作場。船舶の建造は2万種以上にも上る鋼材などの材料を加工し,組立て,艤装する工程を経るが,造船所では船台を設けて材料を組立てて艤装品を取付けることに専念し,部品は造船関連産業 (同じ会社のエンジンなどの製作部門) から供給を受けることが多い。

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世界大百科事典(旧版)内の造船所の言及

【造船】より

…船をつくるには造船だけでなく,製鉄,機械,電機などあらゆる分野の工業力を結集する必要がある。
[設計]
 船は一般に,自動車や飛行機などとは異なり,戦時などを除けばまったく同一のものを大量につくることはまれであって,1隻1隻船主が造船所に注文して建造される。船主の要求する基本条件(大きさ,速さなど)に対し各造船所が見積りを出し,船主は価格,引渡日,仕様を検討したうえで安くて信頼のおける造船所に発注をする。…

【ドキュメンタリー映画】より

…ベルトフの〈映画眼〉理論はイギリスに大きな影響をあたえ,ドキュメンタリーは生活そのもののなかから選びだせる新しい芸術形式であると考える〈英国ドキュメンタリー〉派が生まれた。グリアソンは漁夫の日常生活を通して労働と社会とのかかわりを描いた《流し網漁船》(1929)でその流れの基礎を築き,バジル・ライトの《セイロンの歌》(1934)やポール・ローサの《造船所》(1935)など,詩情よりも〈社会的メッセージ〉を重視するドキュメンタリーが発展した。 ドイツでは,いわゆる〈クルトゥールフィルムKulturfilm〉(〈文化映画〉と訳されて日本語に定着している)がつくられ,なかでもワルター・ルットマンの《伯林――大都会交響楽》(1927)や《世界のメロディ》(1929)は,ベルトフの〈映画眼〉理論の〈リズムのモンタージュ〉に影響された代表的な長編ドキュメンタリーである。…

※「造船所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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