日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブッダガヤ」の意味・わかりやすい解説
ブッダガヤ
ぶっだがや
Buddh-gayā
Bodh-gayā
インド北東部、ビハール州の宗教都市ガヤーの南方約11キロメートルにある仏教遺跡。仏陀伽耶と音写する。尼蓮禅河(にれんぜんが)(サンスクリット語でナイランジャナーNairajanāといい、現在はニーラージャナーNīlājanāとよばれる)に臨み、もとウルビルバーUruvilvā(サンスクリット語)と称した村であり、仏教の開祖釈尊がここで仏陀(ぶっだ)(悟った人)となったのでかくよばれる。釈尊の誕生、初転法輪(しょてんぼうりん)、入滅の地と並ぶ仏教四大聖地の一つである。釈尊は6年間の苦行ののち、この地の菩提樹(ぼだいじゅ)の下に坐禅(ざぜん)して悟りを開いたと伝えられるが、その菩提樹は何代も植え継がれ、釈尊の座ったと伝えられる石の台座(金剛宝座(こんごうほうざ)。紀元前3世紀ころアショカ王によってつくられたものと考えられる)も保存されている。ここには紀元前から僧伽藍(がらん)のあったことが発掘された遺品から推測され、法顕(ほっけん)(335?―421?)や玄奘(げんじょう)(600/602―664)の旅行記にも、その盛んなありさまが記録されている。現在、菩提樹の東に高さ約50メートルの大塔が立つが、これは6世紀ころ創建されたものとみられ、1880年から81年にかけて、イギリス人のA・カニンガムによって調査・修復されたものである。現在この周辺には、チベットをはじめとするスリランカ、ミャンマー(ビルマ)、タイ、中国、日本などの寺々が建てられており、近くの博物館には貴重な遺品が展示されている。
[森 章司]