菩提樹(読み)ボダイジュ

デジタル大辞泉 「菩提樹」の意味・読み・例文・類語

ぼだい‐じゅ【×提樹】

《〈梵〉bodhidrumaの音写》クワ科テンジクボダイジュ別名釈迦がその下で悟りを開いたとされ、原産地インドでは無憂樹むゆうじゅ娑羅双樹さらそうじゅとともに三大聖木とされる。
アオイ科の落葉高木。葉は三角状卵形で、裏面は白い。夏、香りのある淡黄色の小花を下向きにつけ、実は球形で堅い。中国の原産で、寺院1代用として植える。同属別種シューベルト歌曲名として知られるリンデンバウム(セイヨウボダイジュ)がある。 花=夏 実=秋》「―の実を拾ひをる女人かな/虚子
禅宗で、悟りのこと。
[補説]作品名別項。→菩提樹

ぼだい‐ず【×樹】

ぼだいじゅ(菩提樹)」に同じ。
黄金数珠ずず箱に、―のをなむ入れさせ給ひたりける」〈落窪・三〉
菩提子ぼだいし」に同じ。
「―の数珠具したるたたなど」〈宇津保・国譲中〉

ぼだいじゅ【菩提樹】[曲名]

原題、〈ドイツDer Lindenbaumシューベルトの歌曲。ホ長調。連作歌曲集「冬の旅」の第5曲の題名。同歌曲集の中でもっとも有名

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精選版 日本国語大辞典 「菩提樹」の意味・読み・例文・類語

ぼだい‐じゅ【菩提樹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物てんじくぼだいじゅ(天竺菩提樹)」のこと。
    1. [初出の実例]「はじめてけふこくにみるに、菩提樹の葉みな落といへり」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    2. [その他の文献]〔酉陽雑俎‐広動植、木〕
  3. シナノキ科の落葉高木。中国原産で、しばしば寺院の庭などに栽植される。高さ三~一〇メートル。葉は長柄をもち長さ六~一〇センチメートルの円状心臓形、縁に鋸歯(きょし)があり、裏面に灰白色の細毛を密生する。初夏、葉腋から花柄が伸び、二〇ほどの芳香を放つ淡黄色の小さな五弁花を開く。苞葉は狭舌形。果実は球形で径約八ミリメートル。種子で数珠(じゅず)をつくる。シューベルトの歌曲で知られる樹は、同属の別種のリンデンバウム。

▼ぼだいじゅの花《 季語・夏 》

▼ぼだいじゅの実《 季語・秋 》 〔五国対照兵語字書(1881)〕

  1. 仏語。禅宗でさとりをいう。〔臨済録

ぼだい‐ず【菩提樹】

  1. 〘 名詞 〙 「ぼだいじゅ(菩提樹)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「ぼだいずの数珠よりはじめて、用ある物を奉り給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)

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デジタル大辞泉プラス 「菩提樹」の解説

菩提樹〔漫画〕

大和和紀による漫画作品。医学部キャンパス舞台に愛と青春の日々を描く。『週刊少女フレンド』1984年第13号~1985年第13号に連載。講談社コミックスフレンド全3巻。

菩提樹〔曲名〕

オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトの歌曲。原題《Der Lindenbaum》。連作歌曲集『冬の旅』の第5曲の題名。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「菩提樹」の解説

菩提樹 (ボダイジュ・ボダイズ;ボダイノキ)

学名:Tilia miqueliana
植物。シナノキ科の落葉高木,園芸植物

菩提樹 (ボダイジュ)

植物。クワ科の常緑高木。テンジクボダイジュの別称

菩提樹 (ボダイジュ)

植物。ムクロジ科の落葉高木。モクゲンジの別称

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世界大百科事典(旧版)内の菩提樹の言及

【冬の旅】より

…同じW.ミュラーの詩による歌曲集《美しき水車小屋の娘》のような筋の展開はないが,放浪する詩人ないしは音楽家が人生と恋に幻滅し,冬のさすらいの果てに死んでいく情感には鬼気迫るものがある。暖かい《菩提樹》や《春の夢》,また厳しい《霜おく髪》や《辻音楽師》など,ささやきかけ,語りかける歌と巧みなピアノ伴奏が一つになったリートのうちに,ドイツ音楽の結晶としてのドイツ芸術歌曲の真髄をみることができる。【谷村 晃】。…

※「菩提樹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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