大塔(読み)ダイトウ

デジタル大辞泉 「大塔」の意味・読み・例文・類語

だい‐とう〔‐タフ〕【大塔】


大きな塔。
密教寺院の七堂の一つで、大規模な多宝塔。また特に、多宝塔で、初重が円形平面のもの。根来寺ねごろじ大塔など。
高野山金剛峰寺根本大塔のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「大塔」の意味・読み・例文・類語

だい‐とう‥タフ【大塔】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 仏語。真言宗の七堂の一つ。南天鉄塔になぞらえた密教独特の塔。多宝塔の初重に円形平面を残しているもの。高野山、根来大伝法院などにある。
      1. [初出の実例]「公家供養高野大塔」(出典:百練抄‐康和五年(1103)一一月二五日)
    2. 大きな塔。〔法苑珠林‐二九〕
  2. [ 2 ] 高野山金剛峯寺金堂北東にある多宝塔。弘法大師が建て始めたが、延喜年間(九〇一‐九二三ころ完成した。正暦五年(九九四)以来六度雷火などで焼失。昭和一二年(一九三七再建。胎蔵大日尊と金剛界四仏を安置し高野山伽藍(がらん)の中心。金剛峯寺。根本大塔。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大塔」の意味・わかりやすい解説

大塔(奈良県)
おおとう

奈良県南部、吉野郡にあった旧村名(大塔村(むら))。現在は五條市(ごじょうし)の南部を占める地域。旧大塔村は2005年(平成17)西吉野村とともに五條市に編入。南朝の歴史にゆかりが深く、旧村名は大塔宮護良親王(もりよししんのう)にちなむとする説が有力。大峰山脈の西斜面、十津(とつ)川上流の天(てん)ノ川流域に集落が点在する。天ノ川沿いに国道168号(西熊野街道)が南北に通じ、これに沿って中心集落の辻堂(つじどう)、阪本が立地する。吉野熊野特定地域総合開発によって猿谷ダム(さるたにだむ)が1957年(昭和32)築造された。林業を主産業とするが過疎化が深刻である。篠原(しのはら)踊、阪本踊(ともに県無形民俗文化財)など伝統芸能が残る。

[菊地一郎]

『『大塔村史』(1959・大塔村)』『『奈良県大塔村史』(1979・大塔村)』


大塔(和歌山県)
おおとう

和歌山県南部、西牟婁郡(にしむろぐん)にあった旧村名(大塔村(むら))。現在は田辺市(たなべし)の南部を占める地域。旧大塔村は、1956年(昭和31)三川(みかわ)、鮎川(あゆかわ)、富里の3村が合併して成立。2005年(平成17)中辺路(なかへち)、本宮2町および龍神村とともに田辺市に合併。大塔山(1122メートル)西麓(せいろく)にあり、旧村名の由来となる。大塔宮護良(だいとうのみやもりよし)親王の伝説も村にあるが、名称とかかわりはない。日置(ひき)川と富田(とんだ)川流域の山村で、山林労働が主。殿山(とのやま)ダム築造後は過疎化が進み、集落移転が一部行われた。旧熊野街道の国道311号、および日置川沿いに371号が通る。富里温泉や百間谷(ひゃっけんだに)の勝景がある。

[小池洋一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大塔」の意味・わかりやすい解説

大塔
おおとう

和歌山県中南部,田辺市南部の旧村域。大塔山西麓に位置し,日置川の上・中流域を占め,一部富田川中流域を含む。 1956年三川村と鮎川村および富里村の一部が合体して成立。 2005年田辺市,龍神村,中辺路町,本宮町の4市町村と合体して田辺市となった。大部分が山地で,林業が主。 1958年日置川中流の合川に殿山ダム (合川ダム) が完成,それまで盛んであった木材流送は廃止された。西部の富田川流域に鮎川温泉がある。一部は大塔日置川県立自然公園に属する。

大塔
おおとう

奈良県南西部,五條市南部の旧村域。吉野山地中部に位置する。 1889年村制。 2005年五條市に編入。地名は南北朝時代に大塔宮護良親王が滞在したという伝説に由来。山林が大部分を占め林業を主とする。吉野熊野特定地域総合開発計画により,西部を流れる十津川上流に猿谷ダムが建造され,十津川分水が行なわれた。北東部に国指定天然記念物オオヤマレンゲ (大山蓮花)の自生地がある。一部は吉野熊野国立公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「大塔」の意味・わかりやすい解説

大塔(奈良) (おおとう)


大塔(和歌山) (おおとう)

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世界大百科事典(旧版)内の大塔の言及

【多宝塔】より

…平安時代初め,空海は高野山で大日如来の三昧耶形(さまやぎよう)をモデルにして毘盧遮那法界体性塔(びるしやなほつかいたいしようとう)を建立したが,この塔は三昧耶形そのままの宝塔形式(円形平面の一重塔)に裳階(もこし)(庇)を付けた二重の形式で,下重は方5間で内部には円形に並ぶ12本の柱列が2通りあったらしい。これを大塔(だいとう)形式ともいい,はじめは空海に関係の深い真言宗寺院で建てられたが,密教の盛行にともない,小型・簡略化して下重を方3間とし,内部の円形柱列をなくした現在みられる形式の多宝塔が,天台宗をはじめ他宗の寺院でも広く建てられるようになったと推考される。 多宝塔は大日如来そのものを具現した塔で,同じ仏塔でも飛鳥時代に伝来した五重塔,三重塔など(これを層塔という)が仏舎利の奉安を目的としているのとは少し性格が異なる。…

【塔】より

…元)が最古の遺構である。金剛宝座塔は,インドのボードガヤー大塔の形式を引き,高大な基座の上に大塔と4基の小塔の5塔を配するもので,真覚寺(北京。俗称〈五塔寺〉)などに遺構がある。…

※「大塔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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