改訂新版 世界大百科事典 「ブバネーシュワル」の意味・わかりやすい解説
ブバネーシュワル
Bhubaneswar
インド東部,オリッサ州の州都,宗教都市。人口64万8032(2001)。新市街には州議会などがあり,州都としての機能を担っているが,その南方に林立する大小さまざまの数百のヒンドゥー教寺院が有名。主要なものは8~13世紀の造営で,カジュラーホの諸寺とともにインドの北型建築を代表する。ただし本殿(デウル)の高塔にカジュラーホのような小尖塔をつけず,上端近くで急にすぼまって全体としてずんぐりしている。前期(750-900)のパラシュラーメーシュバラParaśurāmeśvara寺とバイタール・デウルVaitāl Deul寺にはチャールキヤ朝およびパッラバ朝建築の影響が認められ,彫刻は量感に富み力強い。中期(900-1100)のムクテーシュバラMukteśvara寺は調和のとれた建築で,外壁の装飾彫刻がすばらしい。1000年ころのリンガラージャLiṅgarāja寺はオリッサ建築の精髄といわれ,その壮麗な本殿は高さ45mもあり,外壁を飾る彫像も自然で柔らかな肉付けになる。後期(1100-1250)のラージャラーニーRājarānī寺は建築形態も彫刻の作風もカジュラーホのそれに近くなる。なお南西郊のカンダギリ・ウダヤギリにはジャイナ教石窟が,南東郊のダウリにはアショーカ王の磨崖刻文があり,市内の州立博物館は州内各地の遺品を収蔵している。
執筆者:肥塚 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報