ブルンジ王国(読み)ブルンジおうこく

改訂新版 世界大百科事典 「ブルンジ王国」の意味・わかりやすい解説

ブルンジ王国 (ブルンジおうこく)

東アフリカの内陸,現在のブルンジ共和国の地にあった王国。ルワンダ王国同様に,15世紀ころ北方から移住してきたナイル語系の牛牧民ツチ族先住の農耕民のフツ族Hutuとピグミートワ族を支配して形成した階層的国家。1890年ドイツ領とされたが,第1次大戦後ルワンダ王国とともにベルギーの国際連盟委任統治領となり,1962年に王国として独立したが,66年にミコンベロ首相によるクーデタで共和制に移行したときに王国としての歴史は終わった。王が神性を帯びた宗教的権威をもっていたこと,ツチ族の貴族階級が首長職,戦士集団,牛の所有権を独占してフツ族と封建的臣従関係を結んだことなどはルワンダ王国とほぼ同じである。創造神イマナは人間に対して恩恵を与える神格であるが,道徳の支配者ではなく,祭祀の対象は,神と人を仲介する父系祖霊と,人間に災厄をもたらす他の死霊であった。支配層であるツチ族は人口的には15%ほどの少数民族で,多数派のフツ族との対立抗争が独立以後繰り返されている。
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百科事典マイペディア 「ブルンジ王国」の意味・わかりやすい解説

ブルンジ王国【ブルンジおうこく】

東アフリカ内陸部,現在のブルンジにあった王国。牧畜民ツチ族が先住農耕民のフツ族とピグミー系のトワ族を征服して建国した。17世紀末ごろに成立し,19世紀前半には現在のルワンダとタンザニアの一部にまで版図を拡げた。ガンワと呼ばれる王族出身の特権階級が封建領主のような地位を占めていたため,王権は弱体でツチ,フツの対立も顕著ではなかった。王国は植民地時代はルアンダ・ウルンジの一部として,さらに独立後も存続したが,1966年のクーデタで王政は廃止された。

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