改訂新版 世界大百科事典 「ルワンダ王国」の意味・わかりやすい解説
ルワンダ王国 (ルワンダおうこく)
東アフリカの内陸,現在のルワンダ共和国の地にあった王国。15世紀ころ,北方から移住してきた長身の牧畜民ツチ族の指導者ブウィンバが,先住の農耕民フツ族Hutuと狩猟民トワ族(ピグミー)を支配して建国したといわれる。神話では,王は天上神イマナの直系とされ,王は神王としての権威を与えられていた。王国は16,17世紀に拡大を続け,19世紀後半にはキゲル・ルワグギリ王の下で強大な軍事国家となった。1890年名目的にドイツ領とされ,第1次大戦後は国際連盟委任統治領としてベルギーの支配下に入ったが,王国としての独立は維持していた。王国は約40の首長領から成り,牛の首長と土地の首長という2種の首長が行政に当たり,貴族の子弟が戦士集団を形成していた。第2次大戦後被支配部族で人口的には多数を占めるフツ族がツチ族支配に対して武力闘争を挑み,1959年に流血の衝突の後,ついに王国を倒した。その結果王や多くのツチ族が国外に逃れたが,この二つの部族対立は現在でも政情不安の主因となっている。
執筆者:長島 信弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報