日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラント工業」の意味・わかりやすい解説
プラント工業
ぷらんとこうぎょう
一連の機械・装置やワンセットの工場を意味する「プラント」の受注、設計、製造、建設、保守等を行う工業。プラント工業は、伝統的に醸造業や化学工業の装置や工場の建設やメンテナンスを担ってきた。第二次世界大戦後、日本経済の重化学工業化とともに、増大してきたエネルギー関連事業、製鉄、石油精製等に関する装置、工場建設が、プラント工業の主要市場となってきた。
プラント工業は、『工業統計表』(経済産業省)の金属製品製造業、はん用機械器具製造業に分類されている産業領域と密接なかかわりをもち、建設用金属製品、ボイラー、タービン、圧力容器、計測機器、配管加工、高圧ガス対応装置、発電プラント、ごみ焼却プラントなどの製造、建設、また、関連する設計、据付け、保守、付帯サービス、エンジニアリング、制御システムの構築等を実行している。プラント工業は、伝統的な機械器具製造業といった概念では把握しきれない産業領域を包摂し、機械・装置そのものの生産だけでなく、工場建設の事前調査から設計、オペレーション指導に至るエンジニアリングといったソフト部門と連携しており、プラント・エンジニアリング業として一括されることがある。そして、エンジニアリング業にとって電力プラントシステム、化学プラント、通信プラントシステム、製鉄システム等が主要受注プラントとなっている(特定サービス産業動態統計)。なお、エンジニアリング業においては、2010年代において海外事業の割合は、約3割である。
一方、ボイラー・原動機製造業等を含むはん用機械器具製造業全体の2014年(平成26)の事業所数は7141、従業者数30万8841人、出荷額約10兆1030億円で2012年以降減少傾向にある(『工業統計表』従業者4人以上の事業所統計)。
[大西勝明 2016年9月16日]