ヘラクリウス朝(読み)ヘラクリウスちょう(その他表記)Heraclian Dynasty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘラクリウス朝」の意味・わかりやすい解説

ヘラクリウス朝
ヘラクリウスちょう
Heraclian Dynasty

ビザンチン帝国王朝 (610~711) 。アフリカのカルタゴ総督ヘラクリウスの息子ヘラクリウス1世が暴君フォーカス帝を破って創始。コンスタンチヌス3世,コンスタンス2世,コンスタンチン4世,ユスチニアヌス2世の諸皇帝を輩出。歴代皇帝の治世中,バルカン半島ではアバール族,スラブ族,ブルガリア族などの南進により帝国の影響力は失われ (680年第1ブルガリア帝国成立) ,また小アジアではヘラクリウス1世により一時はエジプトシリアを帝国領としたが,これも新興勢力イスラムの台頭によって失うこととなった。さらに 663~678年にかけて毎年首都コンスタンチノープルはカリフ,ムアーウィヤ1世の攻撃を受けるなど外敵来襲が相次いだ。こうした激動期に応じて中央ではロゴテテス制度が,属領統治ではテマ制度が導入され,公用語もラテン語からギリシア語に変えられるなど,行政・文化面でのギリシア色の強くなった転換期の王朝であった。

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