日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンライン」の意味・わかりやすい解説
ヘンライン
へんらいん
Konrad Henlein
(1898―1945)
チェコスロバキアのズデーテン・ドイツ人党の指導者。第一次世界大戦に従軍したが、その後、銀行員となった。1931年チェコのドイツ体操協会長となり、1933年10月「ズデーテン・ドイツ人愛国戦線」を創立した。これは少数民族ズデーテン・ドイツ人の自治を要求したが、実質上はナチス党支部で、2年後ズデーテン・ドイツ人党と改称し、1935年の総選挙では44議席を得てチェコ第二の政党になった。ナチス・ドイツから資金援助を受け、1938年のドイツ・オーストリア合邦後はヒトラーと緊密に提携し、ズデーテン地方のドイツ帰属に努めた。ミュンヘン協定でドイツ軍に占領されると、ズデーテン地方の国家委員となり、1939年5月管区指導者兼総督になった。第二次世界大戦末、アメリカ軍に逮捕され、捕虜収容所で自殺した。
[吉田輝夫]