日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッコウトンボ」の意味・わかりやすい解説
ベッコウトンボ
べっこうとんぼ / 鼈甲蜻蛉
[学] Libellula angelina
昆虫綱トンボ目トンボ科に属する昆虫。体長40~43ミリメートル、後翅(こうし)長30~33ミリメートル。体は太身で細毛を密生した種で、この属の種としては原始的な特徴をもつとされている。羽化後の体色は黄褐色、ついでオリーブ色に変じ、老熟するとチョコレートがかった黒色になる。四翅のいずれにも、基部、中央区、先端近くの3か所にべっこう色の紋がある。成虫の出現期は4~6月。大河の沿岸や低湿地の池沼に育ち、中国大陸中部、朝鮮半島、日本(本州、四国、九州)に分布する。第二次世界大戦前は鹿児島県から宮城県まで分布していたが、第二次大戦後は急速に産地が失われていき、現在では、ややまとまった個体がみられるのは、静岡県内の一地域だけになった。
[朝比奈正二郎]