日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベリャーエフ」の意味・わかりやすい解説
ベリャーエフ
べりゃーえふ
Александр Романович Беляев/Aleksandr Romanovich Belyaev
(1884―1942)
ソ連のSF作家。幼稚園の教師や図書館の司書などの職業を経て1925年、処女長編『ドウェル教授の首』を発表、以後文筆活動を続ける。この作品や3年後の『両棲(りょうせい)人間』などは、生体実験や臓器移植手術、あるいは人間の生物学的改良をテーマにした代表作。『無への跳躍』(1933)や『人工衛星ケーツ』(1939)などは宇宙旅行をテーマにした代表作。非凡な着想が多々みられる反面、政治体制からくるイデオロギーの古めかしさが混在している。生前50点余の作品を書いたが不遇で、50年代後期からソ連でも再評価され、ソ連SFの父といわれてきた。
[厚木 淳]
『袋一平訳『無への跳躍』(『世界SF全集8』所収・1969・早川書房)』▽『飯田規和訳『両棲人間』(『少年少女世界SF文学全集8』1971・あかね書房)』