ベルナルドゥスシルウェストリス(その他表記)Bernardus Silvestris

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ベルナルドゥス・シルウェストリス
Bernardus Silvestris
生没年:?-1167以後

フランスの初期スコラの哲学者で,シャルトル学派の一人。フランス名はベルナール・シルベストルBernard Silvestreで,トゥールのベルナールとも呼ばれる。1156年ころシャルトル司教座尚書となる。《宇宙論》と題され,1150年ころシャルトルのティエリーに捧げられた著作で知られる。これはカルキディウスの《ティマイオス注解》を用い,自然に生命を与える宇宙霊魂は神のイデアに従って働くと見たもので,シャルトルのベルナールとも一致する見解である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベルナルドゥス・シルウェストリス
べるなるどぅすしるうぇすとりす
Bernardus Silvestris
(?―1153ころ)

中世フランスの作家、哲学者。生涯については不明であるが、その寓意(ぐうい)物語『大宇宙と小宇宙』Megacosmus et microcosmus(1145~1148)、別名『世界について』De mundi universitateあるいは『宇宙形状誌』Cosmographiaは、中世からルネサンスにかけて広く流布した。原初混沌(こんとん)から宇宙の形成、地誌と自然描写、天空飛行と人間の創造などを想像力豊かに描くこの特異な寓意神話には、当代の学知がすべて歌い込まれている。自然賛美、自然人としての人間の尊厳、生ける自然(大宇宙)と人間(小宇宙)との調和が際だった特色で、全体の色調はきわめて明るい。

[柏木英彦 2015年2月17日]

『柏木英彦著『中世の春』(1976・創文社)』

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