ペレリマン(その他表記)Perelman, Grigori

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペレリマン」の意味・わかりやすい解説

ペレリマン
Perelman, Grigori

[生]1966. ソビエト連邦
ロシアの数学者。サンクトペテルブルグ大学でカンディダートの学位博士号に相当)を取得。アメリカ合衆国カリフォルニア大学バークリー校などを経て,サンクトペテルブルグ大学ステクロフ数学研究所に所属した。2006年にポアンカレ予想に関する業績によりフィールズ賞を授与されたが辞退した。1980年代,ウィリアム・P.サーストンによって 3次元多様体の幾何学研究に大きな発展がもたらされた。3次元には 8種類の幾何学構造が存在し,サーストンの幾何化予想とは,3次元多様体をいくつかの部分に分割することにより,それぞれにいずれかの幾何構造を入れることができるというものである。ポアンカレ予想は,単連結でコンパクトな 3次元多様体は 3次元球面と同相であるというもので,サーストンの幾何化予想の帰結として得られる。1982年にアメリカの数学者リチャード・ハミルトンはリッチフロー(イタリアの数学者グレゴリオ・リッチ=クルバストロの手法)を用いて,幾何化予想へのアプローチを試みたが,解が発散するなどの困難があった。ペレリマンは,リッチフローの漸近的な挙動を詳細に研究した結果,2002年に発表した論文でポアンカレ予想と幾何化予想を解決した。

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