ホウサイラン(読み)ほうさいらん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホウサイラン」の意味・わかりやすい解説

ホウサイラン
ほうさいらん / 豊才蘭
報才蘭
[学] Cymbidium sinense (Jacks.) Willd.

ラン科(APG分類:ラン科)の多年草。ホウサイともいう。亜熱帯東洋ランで、中国大陸南部、台湾原産。屋久島(やくしま)、沖縄にもわずかに自生する。葉は線状で長さ25~50センチメートル、革質で葉面に光沢がある。中国大陸産は立ち葉性で短く、葉先は丸く、台湾産は長く垂れぎみで葉先はとがる。1~3月、高さ約50センチメートルの花茎を出し、径約5センチメートルで緑紫色を帯びた花を5~20個まばらにつける。変種にシロバナホウサイがあり、自生地によりシナホウサイとタイワンホウサイに分かれる。冬は温室で管理する。植え替えは4月と10月の上旬に行う。

[猪股正夫 2019年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホウサイラン」の意味・わかりやすい解説

ホウサイラン(報歳蘭)
ホウサイラン
Cymbidium sinense

ラン科シュンラン属のランで,東アジアの温帯から亜熱帯にかけて広く分布する。東洋ランとして扱われるものの一つで,奄美大島や屋久島にも自生する。自生状態では葉の長さが 1mをこえることもある大型のランであるが,栽培下では 30~60cm程度。花茎は直立し,60~70cmで,直径5~7cmの小花を十数花つける。多くの園芸品種があり,台湾産の系統が中心であるが,一部中国産の系統も栽培されている。園芸品種は斑 (ふ) 入り葉を観賞するものが多い。基本の花色は紫褐色,そのほか紅色,桃色,緑色の品種もある。ほかの東洋ランに比べると寒さに弱く,冬期も3℃以上を要する。

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世界大百科事典(旧版)内のホウサイランの言及

【カンラン(寒蘭)】より

…少し日陰の方が葉やけせず,美しい葉も観賞できる。 近縁で多花性のものに,ホウサイラン(報(豊)才蘭)C.sinense (Andr.) Willd.やスルガラン(駿河蘭,別名オラン(雄蘭))C.ensifolium (L.) Sw.があり,どちらもカンランよりも,より温暖な九州西部やそれより南に分布する。また,カンランとシュンランの自然雑種と推定されるハルカンランCnishiuchiana Makinoが高知県から知られている。…

【ラン(蘭)】より

…現在,鉢花として最も量産されているのはシンビジウムで,デンドロビウム,カトレアがこれについでいる。【江尻 光一】
[日本における東洋ラン]
 東洋ランに含まれる種類は,日本はもとより,中国中南部や台湾の比較的温暖な地方に自生するシュンランやカンラン,またやや暑い地方に自生するキンリョウヘン(金稜辺),ホウサイラン(報才蘭),オラン(雄蘭),メラン(雌蘭),カンポウラン(寒鳳蘭)などとこれらのあいだで自然交配されたと思われる変種などをさす。すべて自然にはえているもので人工交配品種はない。…

※「ホウサイラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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