ほうじ茶(読み)ほうじちゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ほうじ茶」の意味・わかりやすい解説

ほうじ茶
ほうじちゃ / 焙じ茶

番茶または下級煎茶(せんちゃ)を170℃の強加熱できつね色になるまで焙(ほう)じた茶。特有の香りが好まれ、今日の肉、脂肪を多くとるようになった食生活の変化にも適応して飲用も増えている。この香りの成分は、糖、デンプンなどの炭水化物の加熱によって生じるフルフラール類と、糖とアミノ酸の反応で生じるピラジン系の物質のほかに、カテキンの熱変成物質もみられる。焙じ香は貯蔵に弱いため、出荷直前、売る直前に焙じられ、家庭で焙じる習慣も一部には残っている。いれ方は、1人前の茶の量を3グラムとし、約130ミリリットルの熱湯を注ぎ、30秒浸出させる。

[桑原穆夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のほうじ茶の言及

【チャ(茶)】より

…番茶には硬化した茶葉から製造したものと,荒茶再製時に選別したものとがある。川柳(かわやなぎ)は上・中級煎茶から選別された上級番茶であり,ほうじ茶は番茶を茶褐色になるまで加熱したもので,独特のこうばしい香りがある。 釜炒茶は中国で生産される緑茶の大部分を占め,形状,産地などで数十種の銘柄がある。…

【緑茶】より

…雁が音(かりがね),白折(しらおり)などと呼ばれるものは挽茶から選別された茎茶で,くずとはいえ高級品で価格も高い。また,ほうじ茶は番茶や煎茶を強火で焙焼(ばいしよう)したもの,玄米茶はこれに蒸して炒った玄米を加えたもので,いずれも焙焼による香気と軽快な味が喜ばれる。なお,日本緑茶のうち最も生産量の多いのは煎茶で,全体の80%程度を占め,番茶が約12%でこれに続く。…

※「ほうじ茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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