番茶は晩茶、つまり遅くとった茶という意味があり、昔は茶葉が完全に成長するまで畑に置いたものを、鎌(かま)で刈ったり、しごいたりしてとり、炒(い)ったりゆでたりして日干し、半乾きのものをもんで、さらに乾燥してつくっていた。手摘みで煎茶(せんちゃ)がつくられるようになってからは、煎茶用の茶葉をとったあとの硬化葉茎を原料にするようになり、鋏(はさみ)摘みが普及してからは、煎茶の製造過程で出てくる粗大部分(大頭(おおあたま))や茎を主原料とするようになった。また、刈番茶(かりばんちゃ)といって、茶園の形を整えるために刈った木茎、硬葉(こわば)を原料にしたものもある。とる時期により、秋番、冬番、春番などといわれるが、一番茶後の整形のためにとったものがもっとも品質はよい。加工は煎茶用の機械を用いる。香味はやや青臭みが強く、仕上げにあたって強く加熱(80~90℃)したり焙(ほう)じたりして、いやな臭みは除く。浸出されるカフェイン、タンニン、アミノ酸などの成分は少なく、香味は刺激的でなく軽い。いれ方は、1人前の茶の量を3グラムとし、約130ミリリットルの熱湯を注ぎ30秒浸出させる。
[桑原穆夫]
煎茶用として茶樹の新芽を摘みとったあとに残る古い葉でつくる茶。冬を越した葉を整枝時に茎ごと刈りおろし,よく蒸してつくるもので,茶褐色をしている。宇治の茶園でつくられる京番茶などがこれで,大きなやかんに湯を沸かし,煮出して飲用するものである。現在では労賃や燃料費の関係で番茶をつくる農家が少なくなり,おおむね煎茶の精選工程で選別された下級品や台湾などからの輸入品が,この名で販売されている。同音のものに晩茶があり,徳島県の阿波晩茶,岡山県の作州晩茶などが知られている。この晩茶は,5月の新茶期に摘まず,そのまま新芽を生長させて7~8月に摘みとってつくる。番茶とちがったこくと,さっぱりした味をもち,日常飲用するのに好適である。
執筆者:松下 智
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…摘採は日本では年2~4回行う。5月上旬,いわゆる八十八夜ころ摘採するものが一番茶で,年間で最も品質がよい。以後7・8・9月に二~四番茶を摘採するが,最近は茶価の安い三番茶以降の摘採を中止する園も増えている。…
…中国の緑茶は後者による釜炒製で,日本では九州の一部でこの釜炒茶が作られている。 日本緑茶には,煎茶,玉露,挽茶(ひきちや),番茶,玉緑茶などの種類があり,玉緑茶以外はすべて蒸製である。玉緑茶は釜炒製で,佐賀県の嬉野(うれしの)茶,熊本・宮崎両県の青柳茶が有名である。…
※「番茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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