ホール=エルー法(読み)ホール=エルーほう(英語表記)Hall-Héroult process

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホール=エルー法」の意味・わかりやすい解説

ホール=エルー法
ホール=エルーほう
Hall-Héroult process

1886年,アメリカの C.M.ホールとフランスの P.エルーにより発明されたアルミニウムの溶融塩電解製錬法。アルミ原鉱ボーキサイトからバイヤー法で製造した無水純アルミナ Al2O3 を,1100℃前後の溶融氷晶石中に溶かし込み,これを電解塩浴とする。電解炉は黒鉛で内張りした炉体でそれ自体が陰極となり,陽極も黒鉛で上方から塩浴中に垂下する。両極間に5~7Vの電流を通じるとアルミナは分解されてアルミニウムが炉底陰極に沈殿する。使用電流は炉型により異なるが,横型炉で3万~10万A,新式の竪型炉で 10万~20万A。アルミニウム 1kgあたり消費電力は 20 kW/h 前後で,製錬費中電力代が最も大きい比重を占める。バイヤー法と本法の開発により,それまで小規模に塩化物還元法でつくられていたアルミニウムが一躍大増産となり,今日の軽金属時代の端緒となった。本法によって得られるアルミニウムの純度は 99.8%程度で,普通の用途にはこれでさしつかえないが,より高純度を望む場合は三層電解法による。

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