ボエボツキー(その他表記)Voevodsky, Vladimir

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボエボツキー」の意味・わかりやすい解説

ボエボツキー
Voevodsky, Vladimir

[生]1966.6.4. ロシア,モスクワ
[没]2017.9.30. アメリカ合衆国,ニュージャージー,プリンストン
ロシアの数学者。1983年から 1989年までモスクワ大学に学び,1992年にアメリカ合衆国のハーバード大学で博士号を取得。1993~96年ハーバード大学, 1996~98年ノースウェスタン大学教鞭をとり,1998年にプリンストン高等研究所 IASの教授に就任。2002年に中国の北京で開催された国際数学者会議で,代数幾何学に関する業績が認められてフィールズ賞を受賞した。1966年にフィールズ賞を受賞したアレクサンドル・グロタンディークは,スキームの理論による抽象的な代数幾何学を構築し,モチーフと呼ばれる新しい数学的な構造を提案したが,これは代数的位相幾何学(→トポロジー)において培われてきた技術を代数幾何学に応用することを可能にするものであった。ボエボツキーはこうした流れを発展させて,スキームのホモトピー論において顕著な成果を上げ,代数幾何学と代数的位相幾何学の双方において重要な問題を解決した。その一つはミルナー予想の解決である。ボエボツキーによる代数多様体に対する新しいコホモロジー理論の発展は,過去数十年にわたる代数幾何学の発展のなかでも最も著しい成果の一つである。

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