ボナ・デア
Bona Dea
古代ローマの貞節と豊穣の女神。その名は〈良き女神〉の意。牧人と家畜の神ファウヌスの姉妹,妻または娘とされるところから,本名はファウナFaunaまたはファウラFaulaであったという。彼女の祭礼は毎年12月にその年のコンスル(執政官)またはプラエトル(法務官)の任にある者の家で,かまどの女神ウェスタに仕える女祭司ウェスタリスの司式のもと,女性のみが参集して執り行われた。
執筆者:水谷 智洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ボナ・デア
Bona Dea
古代ローマで,女性だけが参加できる密儀の主神として祀られた女神。ファウヌスと密接な関係にあり,一伝ではその娘で,父に求愛されたが拒絶し,酒に酔わされてもなお貞操を守り通したので,怒ったファウヌスはテンニンカの枝で彼女を打擲し,そのあとでへびの姿をかりてついに彼女を犯した。また別伝では,彼女はファウヌスの妻で,家事にたけ貞操も固かったが,あるとき酒に酔ったところを夫にとがめられ,テンニンカの枝で打たれて死んだという。このことのゆえに,女神はテンニンカを嫌悪するとされ,アウェンチヌス丘のふもとにあったその神殿にそれを持込むことはタブーとされていた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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