テンニンカ(読み)てんにんか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テンニンカ」の意味・わかりやすい解説

テンニンカ
てんにんか
[学] Rhodomyrtus tomentosa (Ait.) Hassk.

フトモモ科(APG分類:フトモモ科)の常緑低木。若い茎、葉は白色綿毛を密生する。葉は対生し、長楕円(ちょうだえん)形で質はやや厚い。6月ころ、茎上部の各葉腋(ようえき)に淡紅紫色で径約2センチメートルの美しい5弁花を2、3個開く。果実は液果で径1~2センチメートル、暗紫色に熟す。沖縄、および中国大陸南部、台湾、フィリピン、マレーシア、インドに広く分布する。果実は甘く芳香があり、ジャムをつくる。原産地では庭木とするほか、薪炭、杭(くい)などの用材とする。繁殖は実生(みしょう)または挿木により、5℃以上で越冬する。テンニンカ属はニューギニア、オーストラリアなどにも分布し、約20種知られているが、日本ではあまり栽培されない。

[高林成年 2020年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テンニンカ」の意味・わかりやすい解説

テンニンカ(天人花)
テンニンカ
Rhodomyrtus tomentosa; down martle

フトモモ科の常緑低木。琉球列島から台湾,アジア熱帯に分布する。茎はよく分枝し,枝や葉をはじめ全体に白い毛でおおわれる。葉は対生して短い柄があり,長楕円形で質が厚く,表面は縦に走る3本の葉脈が目立つ。夏に,葉腋から花梗を出し,分枝した先端に径 2cmほどの5弁の白花をつける。多数の紅色のおしべが美しく,観賞用に温室で栽培される。果実は長さ2~5cmの楕円形で紫褐色に熟し,多汁で甘みがあり食用とされる。

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