デンマークの島で,スウェーデンの最南の地スコーネの沖合35kmのバルト海上の孤島。面積589km2,人口4万3445(2005)。バルト(フェノ・スカンジア)楯状地の一部をなし,モレーン(氷堆石)地形を主とするデンマークのなかでは例外的に花コウ岩,片麻岩を中心とする岩石島で,北部海岸は断崖が多い。中心都市はレーネRønneとネクセーNeksø。デンマーク本土から約150km離れ,観光収入が同島の経済に大きな意味をもつ。古ゲルマン族のブルグント族の故地といわれる。1645年にスウェーデンに占領されたが,ブレムセブルーの和議で返還され,58年ロスキレの和約で再びスウェーデンの支配下に入った。しかし同年に,住民の蜂起によってスウェーデン軍を撃退し,デンマーク王フレゼリク3世に同島をささげ,税,兵役の免除という特権を受けた。第2次世界大戦中,ドイツに占領されたが,ソ連軍により解放され,その後ソ連軍占領が1946年4月まで続き,国際緊張の舞台となった。
執筆者:村井 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
デンマーク領の島。スウェーデン最南の地スコーネの沖合い35キロメートルにあるバルト海上の孤島。面積588平方キロメートル、人口4万4197(2002)。フェノ・スカンジア楯状地(たてじょうち)の一部を形成し、花崗(かこう)岩、片麻(へんま)岩を中心にデンマークでは例外的な岩石島を呈し、北部海岸は断崖(だんがい)が多い。中心地はレーネRønneとネクセNeksøである。古ゲルマン民族のブルグント人の故地といわれ、スコーネとともに元来デンマーク領であった当地は、1645年スウェーデンに占領された。一時返還されたが、1658年ロスキレ条約によりスコーネとともにふたたびスウェーデン領となった。同年、住民の蜂起(ほうき)で祖国に復帰し、フレゼリク3世Frederik Ⅲ(1609―1670、在位1648~1670)に同島を捧(ささ)げ、徴税、兵役の免除を受ける特権が認められた。
[村井誠人]
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