ポスト冷戦(読み)ぽすとれいせん(その他表記)post‐Cold War

知恵蔵 「ポスト冷戦」の解説

ポスト冷戦

1980年代後半ゴルバチョフは、新思考を提唱、ソ連外交の根本的転換を推進した。これを受け米ソ間の首脳会談が定例化、89年のマルタ会談では、冷戦終結が宣明された。続く東欧社会主義圏・軍事ブロックの解体、ドイツ統一、全欧安保協力会議のパリ憲章(90年)における不戦の誓いなど、冷戦の主舞台となった欧州で東西対決型紛争の条件がなくなった。アフガニスタンアンゴラカンボジアなど、第三世界の紛争からも東西対立の面が消え、その限りで沈静化や局地化した。半面、(1)イデオロギー対立に代わる民族・人種対立の表面化、(2)東西の接近の裏としての南北ギャップの増大、(3)世界経済の資本主義市場経済への一本化の結果として、資本主義的格差が北内部での格差を含めて世界化する傾向、(4)しかし同時に民主主義と人権意識の地球化への動き、という変動要因が複雑に関連した新しい流動的状況が生まれた。これをポスト冷戦状況と呼ぶ。冷戦は終わったが次に何がくるのかは不明確という含みが込められている。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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