ポテンシャル水温(読み)ポテンシャルすいおん(その他表記)potential temperature

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポテンシャル水温」の意味・わかりやすい解説

ポテンシャル水温
ポテンシャルすいおん
potential temperature

海洋では深さによって圧力が変化するため,深層の水ほど圧力の効果を強く受け,わずかだが水温は高めに出る。測定された水温 (現場水温) で,水塊分析などを行なうと,同一水塊であっても異なる水塊であるかのように見える。その不備を改善するため,同一圧力下 (同一深度) まで断熱的に海水を移動させ,そこでの水温を定義する。この水温をポテンシャル水温と呼ぶ。最も標準的な深度は海面であるが,深層水解析には 2000m,3000mなどの深さを基準にする。実際には,海水温度に対する圧力の効果は分かっているので,観測された現場水温値から計算によって求める。なお,密度は水温の影響が大きいので,同様にポテンシャル密度も定義されている。

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海の事典 「ポテンシャル水温」の解説

ポテンシャル水温

海水を断熱的にある規準の深さまで持ってきたとき、その海水の示す水温をポテンシャル水温または温位という。これに対し、その場所での水温を現場水温とい う。規準の深さは特にことわらない場合は海面にとる。それ以外の場合は、深さ何mにおけるポテンシャル水温と言う。この規準の深さ(圧力)で、ポテンシャ ル水温と塩分から得られる海水の密度をポテンシャル密度という。これらは海洋の成層安定性を論じる場合等で用いられる。 (永田

出典 (財)日本水路協会 海洋情報研究センター海の事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のポテンシャル水温の言及

【海水】より

…水温は,海水が断熱的に深さを変えると膨張または圧縮によって変化するため,保存量ではない。一方,海水をその深さから海面まで断熱的に移動させたときもつであろう水温は保存量であり,ポテンシャル水温と呼ばれる。塩分と同様に,海水の同定に用いられる。…

※「ポテンシャル水温」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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