日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポロ」の意味・わかりやすい解説
ポロ
ぽろ
polo
4人ずつのプレーヤーがマレット(長柄の木槌(きづち))でボールを奪い合い、ゴールに打ち込む。起源は騎馬民族の競技として始まったもので、古代ペルシアで盛んに行われた、チャウガーンĆawgánで、Ćawは木切れ=Caupa、gánはたたく物=gán(a)と推定される。ポロの語源は球を意味するチベット語puluに由来するとされる。
競技は、プレーヤーは1から4までの背番号をつけ、1、2はFW(フォワード)、3、4はBK(バック)になる。競技方法は1回7分30秒で、8回行う。回(ピリオド)が終わるたびに3分の休憩があり、4回目が終了したハーフ・タイムには5分間休む。審判は騎乗者2人とサイドライン1人からなっている。
競技場は長さ300ヤード(1ヤードは約91センチメートル)、幅160ヤード以内の長方形で、その周囲にはセーフティゾーンをつくる。11インチ(1インチは約2.54センチメートル)の高さの白い板柵(いたさく)で囲むのが規則だが、もし柵がない場合は、幅200ヤードまでがセーフティゾーンとして認められる。ゴールは高さ10フィート(1フィートは約30.48センチメートル)の柱を8ヤードの間隔で2本立てる。
プレーヤーが騎乗する馬はポロポニーといわれる小馬で、数年間調教訓練された15から15.2ハンズ(1ハンズは手幅の長さ)の高さの馬と限定されている。マレットはシャフト部分が47~54インチ、ヘッドは紙巻きたばこを大きくしたようなもので直径2インチ、長さ9インチの木製の槌である。ボールは、ヤナギ、トネリコ、竹の根でつくられ、直径3.25インチ、重さ4.25~4.75オンス(1オンスは28.35グラム)となっている。勝負服は白のパンツ、チームカラーのジャージーを着用、皮またはゴム製の膝(ひざ)当てとヘルメットを着けることになっている。
競技開始は、センターラインの両側に並んだ両チームの間に、ボールを投げ入れることから始まる。騎乗したままでマレットを使ってボールを打ち、相手ゴールに打ち込めば1点を与えられる。自陣のゴール防御の際、相手の人馬をつかんだり、マレットを使ってじゃますることは禁止されているが、ボールに対して相手の馬と同じサイドにいるか、直後の場合には、相手の打とうとするマレットを自分のマレットでひっかけることはできる。反則がなければゴールできたときにはペナルティーゴールが、また反則に応じてフリーヒットが与えられる。8回を終わって同点の場合は1点をとるまで延長する。現在は、インド、イギリス、アメリカなどを中心に、ヨーロッパ、アフリカなどでも行われている。
[石井恒男]
『森美香著『ポロ その歴史と精神』(1997・朝日新聞社)』