法則の辞典 「ポーリングの原理」の解説
ポーリングの原理【Pauling's principles】
(1) 第一原理:ゴールトシュミット‐ポーリングの原理*と呼ばれるべきものだという権威も多い.最初に提案したのはゴールトシュミットのほうだったからである.それぞれの陽イオンの周囲には陰イオンによる配位多面体が形成される.そのときのイオン間距離はイオン半径の和によって決定され,陽イオンの配位数は半径比によって決定される.
(2) 第二原理:安定な配位構造において,配位多面体をなす陰イオンの電荷は,多面体の中心にある陽イオンから到達する静電原子価結合の強さによって相殺されようとする.すなわち「ポーリングの静電原子価則」である.
(3) 第三原理:配位した構造における稜の共有,また特に面の共有は構造の安定性を低下させる.この効果は大きい電荷をもち小さい配位数をもつ陽イオンのときに著しく,また特に半径比が多面体の安定性の下限に近づくときに大きくなる.
このほかに第四原理と第五原理とが提案されたが第四原理は第三原理のパラフレーズ,第五原理は重要性に乏しいとされ,通常は引用されない.