日本大百科全書(ニッポニカ) 「マオケー炭田」の意味・わかりやすい解説
マオケー炭田
まおけーたんでん
Mao Khe Coal Fields
ベトナムの炭田。クアンニンQuang Ninh盆地の西部、バオダイBao Dai炭田とソン・コイ川下流平野の間に位置する長さ約25キロメートル、幅約5キロメートルの区域。高速道路の18号線と鉄道が炭田に沿って走っている。石炭開発の歴史は古く、ミンマンMinh Mang王の時代に坑内掘りで開発された。1889~1951年のフランス統治下での生産累計は365万トンとなっており、以後、年産量40~50万トンで推移している。炭田の地層はおおむね北に25~45度単斜しており、夾炭(きょうたん)層の累計層厚は約4500メートルであるが、炭層は中央部に賦存する。炭層は合計61層あり、礫岩(れきがん)・シルト岩・砂岩・頁岩(けつがん)を挟み、稼行可能な炭層は37層、その累計厚さは152.5メートルである。炭層の構造は比較的簡単で、広い地域にわたって安定している。各炭層の厚さは0.1~59.4メートル、各炭層の層間は14~17メートルである。炭量は約4億4000万トン。そのうち4490万トンが海水準以上にあり、3億9700万トンが竪坑(たてこう)または斜坑による開発対象炭量である。炭種は無煙炭で、水分3.4~5.5%、灰分10~32%、揮発分3.5~6.0%、固定炭素91~94%、硫黄(いおう)0.5~0.7%を含む。発熱量は1キログラム当り6000~7000キロカロリー。
[樋口澄志]