まず隗より始めよ(読み)まずかいよりはじめよ

故事成語を知る辞典 「まず隗より始めよ」の解説

まず隗より始めよ

有能な者を招きたいならば、まずは近くにいる者を優遇せよ、ということ。転じて、物事はまず言い出した者から実行せよ、ということ。

[使用例] まず人間の方で先にになる訳だな。乞う隗より始めよか[夏目漱石虞美人草|1907]

[使用例] ず隗より始めよということがありますから、最初にSさんに御願い致しましょう[小酒井不木*手術|1926]

[由来] 「戦国策えん策」に見える話から。紀元前四世紀の終わり、中国の戦国時代、現在の北京あたりにあった燕という国は、失政のため大混乱したところを隣国に攻め込まれて、滅亡寸前にまで追い詰められました。そんな中、亡くなった父王のあとを継いで即位したしょうおうは、国の復興には有能な人物を招くことが必要だと考えて、補佐役のかくかいにその方法を尋ねました。すると、郭隗は、「先ず隗より始めよ(手始めに、目の前にいる私、郭隗を優遇してください)」と答えます。「自分程度の者でも優遇されることが知れ渡れば、もっと才能のある者はもっと優遇されると考えて、喜んでやってくるでしょう」というのがそのこころ事実、その通りにすると、昭王もとには有能な人材が集まり、復興を成し遂げることができたのでした。

[解説] ❶価値のないものを大切にすれば、価値のあるものは自ずと手に入る、というのが、郭隗の理屈。とはいうものの、本心は自分を売り込みたかったのでしょう。しかし、現在ではもっぱら、言い出した者にその提案の実行を押しつける場合に、使われています。❷このとき、昭王を説得するために郭隗がしたたとえ話が、「死馬の骨を買うという故事成語の元になっています。

〔異形〕隗より始めよ。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

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