小酒井不木(読み)こざかいふぼく

精選版 日本国語大辞典 「小酒井不木」の意味・読み・例文・類語

こざかい‐ふぼく【小酒井不木】

  1. 医学者、推理小説家。本名光次。愛知県出身。東京帝大医学部卒。医学の知識に基づいて犯罪に関する研究を行ない、推理小説を発表。著作「科学的研究と探偵小説」、小説「恋愛曲線」「疑問黒枠」など。明治二三~昭和四年(一八九〇‐一九二九

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20世紀日本人名事典 「小酒井不木」の解説

小酒井 不木
コザカイ フボク

大正・昭和期の探偵小説家,医学者



生年
明治23(1890)年10月8日

没年
昭和4(1929)年4月1日

出生地
愛知県海部郡蟹江

本名
小酒井 光次

学歴〔年〕
東京帝国大学医学部〔大正3年〕卒

学位〔年〕
医学博士〔大正10年〕

経歴
血清学の研究医で東北帝大教授に招かれロンドン、パリに留学したが、肺結核で倒れる。任地に赴かないまま、大正11年に退職。静養中作家生活に入り、豊富な医学知識をもとに、医学随筆ほか、「人工心臓」「疑問の黒枠」「大雷雨の殺人」など探偵小説を発表。勃興期の文壇に刺激を与えた。また、海外作家の紹介者としても知られ、ドーセ「スミルノ博士の日記」「夜の冒険」、チェスタトン「孔雀の樹」などを訳した。その業績は「小酒井不木全集」(全17巻・改造社)にまとめられている。一方、那須茂竹に俳句の指導を受け、自宅で枯華句会を開催。また土師清二らとも句作した。句集に「不木句集」がある。50年その蔵書約2万冊が名古屋市に寄贈され、“蓬左文庫”が出来た。

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百科事典マイペディア 「小酒井不木」の意味・わかりやすい解説

小酒井不木【こざかいふぼく】

医学者,小説家。愛知県生れ。本名光次。1914年東京帝大医学部卒。森下雨村の勧めで《新青年》に〈犯罪文学研究〉などの論考を発表したのをきっかけに,海外の探偵小説翻訳チェスタートンの《紅雀の樹》など),創作(《恋愛曲線》)も行う。医学的知識と海外の探偵小説に関する豊富な知識を背景として,当時の日本探偵小説に大きな影響を与えた。代表作としては,《疑問の黒枠》(1927年),《闘争》(1935年)など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小酒井不木」の意味・わかりやすい解説

小酒井不木
こざかいふぼく
(1890―1929)

推理作家。本名光治(みつじ)。愛知県生まれ。東京帝国大学医学部卒業。東北帝国大学医学部助教授となったが、海外留学中に健康を害し1923年(大正12)退職。25年から『新青年』を舞台に推理小説、翻訳、評論などを通じて推理小説の普及に貢献した。精神病理学の論争を主題にした『闘争』『恋愛曲線』、長編『疑問の黒枠』などのほか、『毒及毒殺の研究』『犯罪文学研究』などの評論がある。

[厚木 淳]

『『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』(創元推理文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小酒井不木」の意味・わかりやすい解説

小酒井不木
こざかいふぼく

[生]1890.10.8. 愛知,蟹江
[没]1929.4.1. 名古屋
推理小説家,医学者。本名,光次。 1914年東京大学医学部卒業。東北大学教授 (1920) となったが病気のため退職,随筆『学者気質』 (21) で注目された。以後医学的研究の解説に海外推理小説を多く引用して,日本の推理小説に影響を与えた。みずからも『恋愛曲線』 (26) ,『疑問の黒枠』 (27) ,『闘争』 (29) などを書き,科学に立脚した本格推理小説の発展に寄与した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小酒井不木」の解説

小酒井不木 こざかい-ふぼく

1890-1929 大正-昭和時代前期の医学者,小説家。
明治23年10月8日生まれ。病気のため大正11年東北帝大教授を退職。郷里の名古屋で犯罪の研究や海外探偵小説を翻訳し,「恋愛曲線」などの探偵小説もかいた。昭和4年4月1日死去。40歳。東京帝大卒。本名は光次。作品はほかに「人工心臓」「疑問の黒枠」など。
【格言など】三日生きたい。ほんとうは三年生きたい(最期の言葉)

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367日誕生日大事典 「小酒井不木」の解説

小酒井 不木 (こざかい ふぼく)

生年月日:1890年10月8日
大正時代;昭和時代の探偵小説家;医師。東北帝国大学教授
1929年没

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