虞美人草(読み)グビジンソウ

デジタル大辞泉 「虞美人草」の意味・読み・例文・類語

ぐびじん‐そう〔‐サウ〕【虞美人草】

ヒナゲシ別名虞美人が自決したときの血が、この花になったという伝説がある。 夏》
[補説]書名別項。→虞美人草
[類語]芥子雛芥子ポピー

ぐびじんそう【虞美人草】[書名]

夏目漱石小説。明治40年(1907)発表自我の強い高慢な女藤尾を通して、利己道義相克を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「虞美人草」の意味・読み・例文・類語

ぐびじん‐そう‥サウ【虞美人草】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 植物ひなげし(雛罌粟)」の異名。《 季語・夏 》 〔元亀本運歩色葉(1571)〕
  2. [ 2 ] 小説。夏目漱石作。明治四〇年(一九〇七)発表。自我の強い高慢な女主人公藤尾の失恋を通して、利己と道義の相克を描く。

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デジタル大辞泉プラス 「虞美人草」の解説

虞美人草〔映画〕

1935年公開の日本映画。監督:溝口健二原作:夏目漱石による同名小説、脚本:高柳春雄、潤色伊藤大輔撮影三木稔出演:夏川大二郎、月田一郎、武田一義、大倉千代子、二条あや子、三宅邦子ほか。

虞美人草〔曲名〕

日本ポピュラー音楽。歌は女性演歌歌手、長保有紀。1993年発売。作詞:鳥井実、作曲:深谷昭。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「虞美人草」の解説

虞美人草 (グビジンソウ)

植物。ケシ科の一年草,園芸植物,薬用植物。ヒナゲシの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の虞美人草の言及

【エゴイスト】より

…ウィロビーは純情なレティシアを軽べつして才女クレアラに求婚するが拒絶され,もはや自分を愛していないレティシアと結婚せざるをえなくなる。華麗な文章と機知に富んだ会話は夏目漱石の《虞美人草》に影響を与えたが,喜劇的精神は抜け落ちている。【海老根 宏】。…

【新聞小説】より

…また新聞の性格と関連して,季節感や時事性も重視されていた。たとえば尾崎紅葉の《金色夜叉(こんじきやしや)》(1897‐1902)の有名な歌留多取りの場面は松の内に読まれるように工夫されており,夏目漱石の《虞美人草(ぐびじんそう)》(1907)では,連載直前まで開催されていた上野の勧業博覧会がストーリーの展開のかなめになっている。これらは新聞小説のアクチュアリティとしてきわめて効果的であった。…

【夏目漱石】より

…すでに40歳であった。入社第1作《虞美人草》は,一文を草するのに俳句を一句ひねるがごとき苦心を重ね,美文に陥る嫌いはあるが,一見古めかしい勧善懲悪の意匠の下に卓抜な文明批評をおこなっている。つづく《三四郎》(1908),《それから》(1909)では文明批評とからませた人間の存在追求に深さを増し,《門》(1910)にいたって片隅に生きる男女の日常を描いて,澄んだ静謐(せいひつ)な形而上的感触を暗示する作風を示した。…

【日本映画】より

… これとは別に松竹は,1920年の《島の女(むすめ)》(木村錦花監督)を皮切りに商業主義による映画製作にとりかかった。この松竹第1回作品の撮影をしたのが,ハリウッド帰りのカメラマン・ヘンリー小谷で,蒲田撮影所のスタッフにアメリカの撮影技術を伝授し,みずから監督もした《虞美人草》(1921)はヒットして,主演の栗島すみ子を最初のスター女優にした。《虞美人草》は内容的には旧来の新派となんら変わらなかったが,松竹はこの路線の映画を量産するに至り,ヘンリー小谷は早くも21年に松竹を離れた。…

※「虞美人草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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