マダラトビエイ（読み）まだらとびえい

日本大百科全書(ニッポニカ)

マダラトビエイ
まだらとびえい / 斑飛鱝

軟骨魚綱トビエイ目トビエイ科の属の総称、またはその1種の名称。マダラトビエイ属Aetobatusは、胸びれが頭の前に突出して左右が合一し、可動的な吻部(ふんぶ)を形成すること、背びれの後ろに大きな棘(とげ)をもつこと、背びれが腹びれの間にあること、噴水孔が頭部背面から見えることなどの特徴をもつ。日本近海からは2種が知られ、マダラトビエイA. ocellatusは体盤背面にたくさんの青白い斑点(はんてん)があることで、ナルトビエイA. narutobieiは体盤背面が一様に暗褐色であることでそれぞれ区別できる。

　種としてのマダラトビエイ（英名ocellated eagle ray）は沿岸性で、60メートル以浅のサンゴ礁、湾内、河口域などに生息し、二枚貝やエビ類を食べる。生殖方法は非胎盤型の胎生で、胎仔(たいし)は自分の卵黄を吸収してしまうと母体から栄養（子宮ミルク）を受けて成育する。4尾程度の子を産む。体盤幅で3.3メートルくらいになる。南日本、中西部太平洋、インド洋の熱帯から亜熱帯域の沿岸域に分布する。国際自然保護連合（IUCN）のレッド・リストでは、絶滅危惧(きぐ)種中の「危急」（VU）に指定されている（2021年8月時点）。

［仲谷一宏　2021年9月17日］

[参照項目] | エイ | トビエイ

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内のマダラトビエイの言及

【トビエイ】より

…夏季に1産5～8尾の子どもを生む。マダラトビエイAetobatus narinari，アオスジトビエイAetomylaeus nichofii，ウシバナトビエイRhinoptera javanicaの3種は南日本から広く南方にまで分布する。産業的に重要な種類ではなく，せいぜい練製品の材料として使われるくらいである。…

※「マダラトビエイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」