改訂新版 世界大百科事典 「マッキンダー」の意味・わかりやすい解説
マッキンダー
Halford John Mackinder
生没年:1861-1947
イギリスの地理学者,政治家。オックスフォード大学に学び,1883,84年それぞれ自然科学,近代史について特別研究員の資格を得る。1887年オックスフォード大学に新しく地理学の講義が始められ,講師に任用された。これはやがて99年にイギリス最初のスクール・オブ・ジオグラフィーとなり,彼が長となる。このように地理学科を独立させ,いわゆるアカデミー地理学の基礎を据えるのに彼の働きは大きかった。また併任されてロンドン大学ではスクール・オブ・エコノミクスで講師(1895-1923),教授(1923-25)として経済地理学を講じた。彼はまた下院議員となり(1910-22),南ロシアの高等弁務官(1919-20)を務め,ナイトに叙勲された。彼の著《ブリテンとブリテンの海》(1902)はイギリス近代地理学の古典とされ,政治地理学者としての代表作《民主的理想と現実》(1919)はロシアを〈ハートランド〉として世界戦略を論じ,ドイツ地政学にも大きく影響を与えた。
執筆者:野間 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報