阿寒湖(読み)あかんこ

精選版 日本国語大辞典 「阿寒湖」の意味・読み・例文・類語

あかん‐こ【阿寒湖】

北海道東部にある淡水湖雄阿寒岳の火山せき止め湖で、阿寒国立公園の一部をなす。ヒメマスアメマスウグイがとれる。マリモ特別天然記念物。面積一三・〇平方キロメートル。水面標高四二〇メートル。

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デジタル大辞泉 「阿寒湖」の意味・読み・例文・類語

あかん‐こ【阿寒湖】

北海道東部、雄阿寒岳カルデラ湖ヒメマス原産地の一。特別天然記念物マリモの生育地。面積13平方キロメートル。最大深度44.8メートル。湖面標高420メートル。平成17年(2005)ラムサール条約に登録された。

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日本歴史地名大系 「阿寒湖」の解説

阿寒湖
あかんこ

阿寒町北部にある阿寒国立公園内の三大湖の一つ。阿寒カルデラ内にある火山性の湖で、北方網走郡津別つべつ町にある阿幌あほろ(九七八メートル)木禽ききん(九九四・八メートル)、さらに西方の同町と阿寒町境の釧北せんぽく峠の間に阿寒カルデラの壁が形成される。面積は約一三平方キロで湖岸線は火山作用の影響で複雑化し、全長は約三一キロに及ぶ。湖面の標高は四二〇メートル、湖の最深部は東の雄阿寒おあかん岳側で四四・八メートルあり、平均水深は一九・八メートル。透明度は近年悪化して約三・五メートルである。本来貧栄養湖であったが、近年南岸の阿寒湖畔温泉街側から富栄養化が進みつつある。流入河川は北部にはパンケトーから流れるイベシベツ川とキネタンベ川・チュウルイ川、西には尻駒別しりこまべつ川、南部には万代ばんだい川・ウグイ川などがあり、南東端から阿寒川が流出する。湖中のおもな島にはおお島・島・ヤイタイ島・チウルイ島がある。前近代の史料や絵図には「アカントウ」、「アカン沼」とみえ(寛政一一年頃「クスリシヤリ・シベツ間里程絵図」近藤重蔵蝦夷地関係史料など)、「風俗人情之沙汰」では「松前所在嶋の内」にある四つの「々たる湖水」の一つとして「アカントウ」をあげている。

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改訂新版 世界大百科事典 「阿寒湖」の意味・わかりやすい解説

阿寒湖 (あかんこ)

北海道東部,釧路市の北部にある湖。東岸に雄阿寒岳がそびえ,南岸に阿寒湖畔温泉があり,阿寒国立公園の一部となっている。面積12.7km2,水面の標高420m,富栄養湖である。カルデラ底にある湖だが,湖岸線は屈曲が多い。阿寒カルデラは,洪積世中期の激烈な火山活動ののち陥没によって形成されたもので,南部を除けば,長径20km,短径13kmの長円形に外輪山をたどることができる。はじめカルデラ底に形成された湖は,阿寒川の浸食により湖面は低下し,フレベツ,フップシ,雌阿寒の3火山の噴火により埋め立てられ,次いで沖積世初期に中央火口丘雄阿寒岳が活動に入って新たに堰止湖を作ったが,その後の活動によって雄阿寒岳は成長するとともに湖面の大部分を埋めて,現在の阿寒湖のほか北麓にパンケトウ,東麓にペンケトウなどを作った。これらの湖沼はいずれも雄阿寒岳の溶岩流による堰止湖であるから,雄阿寒山麓に接する部分だけでなく,湖岸は全体に堰止湖特有の溺れ谷による屈曲を示していて,湖面標高もそれぞれ異なっている。阿寒湖には,大島(オンネモシリ),小島(ポンモシリ),ヤイタイ島,チウルイ島と呼ばれる四つの小島があり,湖水は南東隅から阿寒川によって排水される。湖岸には原生林がせまり,春のエゾムラサキツツジ,初夏のシャクナゲ,秋の紅葉が彩りを添える。阿寒湖のマリモは特別天然記念物で,現在は北部の2ヵ所にのみ生育し,深度1~5mの湖底,あわせて0.1km2が生育地であり,チウルイ島にはその観察センターがある。ヒメマスの原産地の一つで,各地の湖沼に移し殖やされた。通常12月下旬に結氷,4月末解氷し,冬季には氷上釣りが行われる。湖の南岸中央部の阿寒湖畔温泉(硫黄泉,32~64℃)は観光基地で,温泉街の東側の湖畔に熱泥のわきあがるボッケがみられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿寒湖」の意味・わかりやすい解説

阿寒湖
あかんこ

北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の北西部にある火山性の湖水。周囲26キロメートル、面積13.3平方キロメートル、最大深度44.8メートル、水面標高420メートル。火山活動のために形成された長径約24キロメートル、短径13キロメートルの阿寒カルデラ中央部に雄阿寒岳(おあかんだけ)(1370メートル)が噴出したのち、周辺部の沈降と火山噴出物の堰止(せきとめ)によって生まれた。南東隅から阿寒川が流出する。湖岸は出入りが多く、湖中に大島、小島、ヤイタイ島、チゥルイ島が浮かぶ。北東部のチゥルイ川、キネタンペ川河口付近の水中にマリモが生息し、特別天然記念物に指定されている。日本におけるヒメマスの原産地であり、湖水ではワカサギの養殖が行われる。阿寒摩周国立公園(あかんましゅうこくりつこうえん)の景勝地の一つで、エゾマツ、トドマツ、シラカバなどの針広混交林が湖岸に迫り、春のエゾムラサキツツジ、秋の紅葉がとくに美しく、東方に雄阿寒岳、南西方に雌(め)阿寒岳(1499メートル)がそびえる。南岸に阿寒湖畔温泉(単純温泉。泉温約60℃)が湧出(ゆうしゅつ)し、集落が開ける。国道240号が通じ、これより分かれる241号で帯広(おびひろ)、弟子屈(てしかが)と結ばれている。なお、阿寒湖は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。

[古川史郎 2018年5月21日]


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百科事典マイペディア 「阿寒湖」の意味・わかりやすい解説

阿寒湖【あかんこ】

北海道東部,雄阿寒岳山麓にある火山堰止(せきとめ)湖。面積13.25km2,湖面標高420m,最大深度44.8m。富栄養湖でマリモの生息地,ヒメマスの原産地として知られ,アメマス,ウグイなども生息。阿寒国立公園に属し,南西岸には阿寒湖畔温泉がある。2005年11月にラムサール条約登録湿地となる。
→関連項目阿寒[町]弟子屈[町]ヒメマス雌阿寒岳ラムサール条約

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿寒湖」の意味・わかりやすい解説

阿寒湖
あかんこ

北海道東部,雄阿寒岳(1370m)の西山麓にある堰止湖釧路市に属する。面積 13km2。周囲 30km。最大水深 45m。湖面標高 420m。最大透明度 5m。阿寒カルデラ(長径 24km,短径 13km)の中心部に雄阿寒岳が噴出したのち,周辺部の沈降と噴出物のせき止めによって形成された湖。湖岸は複雑に入り組み,原生林に覆われる。湖中には大島,小島,ヤイタイ島,チウルイ島(チュウルイ島)の島々がある。流入河川は,イベシベツ川ほか 7本を数え,湖水は南東部から阿寒川となり太平洋へ流出。湖沼は富栄養湖型。国の特別天然記念物であるマリモは球状の緑藻の一種で,湖北のチウルイ島周辺に群生する。魚類はヒメマス,ウグイが多く,ワカサギの養殖も行なわれる。阿寒国立公園に属する。2005年ラムサール条約に登録。

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事典 日本の地域遺産 「阿寒湖」の解説

阿寒湖

(北海道釧路市)
ラムサール条約湿地」指定の地域遺産。
淡水湖、マリモ生育地。阿寒国立公園特別保護地区及び特別地域。火山活動によって形成された広大なカルデラ湖

阿寒湖

(北海道釧路市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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