日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリュス」の意味・わかりやすい解説
マリュス
まりゅす
Étienne Louis Malus
(1775―1812)
フランスの物理学者。パリに生まれる。軍隊に入ったが1794年に抜擢(ばってき)されて、新しく創設された理工科大学校(エコール・ポリテクニク)に学ぶ。卒業後、技術将校となりナポレオンのエジプト・シリア遠征に加わる。1807年に「光学論考」を著す。この論文はその後W・R・ハミルトンによって引き継がれ、『光学系の理論』(1827)として一般化された。1808年にフランス科学アカデミーが募集した複屈折に関する懸賞論文のための研究のなかで反射光の偏り(偏光)を発見し、直交光線系に関する「マリュスの定理」を証明した。
[田中國昭]