日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルダイ」の意味・わかりやすい解説
マルダイ
まるだい / 丸鯛
red-banded seabream
[学] Argyrops auriga
硬骨魚綱スズキ目タイ科マダイ亜科に属する海水魚。東大西洋のポルトガルからアンゴラ沿岸、地中海、カナリア諸島に分布する。体は楕円(だえん)形で強く側扁(そくへん)し、体高は著しく高い。吻(ふん)の上部外郭は急傾斜する。眼下幅は広い。上顎(じょうがく)の後端は目の前縁下に達するか、わずかに越える。上顎前部には2対の犬歯が、下顎には3対の強大な犬歯がある。両顎側部には強大な2列の臼歯(きゅうし)とその前方に3~4本の円錐歯(えんすいし)がある。眼隔域(左右の目の間隔域)の鱗(うろこ)はほぼ中央部に達する。背びれ第3~5棘(きょく)は柔らかく、糸状に延長する。体は桃赤色で、体側に5条の幅広い顕著な濃赤色の横帯がある。胸びれと腹びれは赤く、腹びれの先端は黒い。水深170メートル以浅の大陸棚の岩や礫底(れきてい)の上方に生息し、おもに貝類、頭足類、甲殻類などを食べる。24~27年ほど生きる。最大の全長は約80センチメートルになる。底引網で漁獲される。日本にも輸入され、アサヒダイ、エビスダイなどの商品名でよばれることもある。日本のタイワンダイは本種と同属である。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年9月19日]