マークアンド(英語表記)John Phillips Marquand

改訂新版 世界大百科事典 「マークアンド」の意味・わかりやすい解説

マークアンド
John Phillips Marquand
生没年:1893-1960

アメリカの作家。幼年時代よりボストン近郊の上流社会に育ち,ハーバード大学卒業後,新聞社に勤めるかたわら創作を始め,最初はダイム・ノベル(10セント小説)のたぐいの通俗小説を多く書いた。なかでも,日本人の私立探偵ミスター・モトが活躍する一連の探偵ものは評判になった。1937年,《故ジョージ・アプリー》を発表してピュリッツァー賞を受賞してから,純文学の作家として認められるようになったが,これは伝記の形を借りて,ボストンの典型的な実業家とその家族の生活を巧みに風刺した上質の風俗喜劇で,その後も《ウィックフォード・ポイント》(1939),《B.F.の娘》(1946)など同種の多くの作品を発表した。ニューイングランドニューヨークの上流社会の因襲的な伝統や,成功者の偽善性などを,洗練された筆致でおだやかに風刺する特異な作風が,多くの注目をあびた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マークアンド」の意味・わかりやすい解説

マークァンド
Marquand, John Phillips

[生]1893.11.10. デラウェア,ウィルミントン
[没]1960.7.16. マサチューセッツ,ニューベリポート
アメリカの小説家。ハーバード大学卒業後,新聞その他の仕事に従事。処女小説『恐るべき紳士』 The Unspeakable Gentleman (1922) 以来,『黒い船荷』 The Black Cargo (25) ,日本人の秘密情報員が活躍する『モト君,ありがとう』 Thank You,Mr. Moto (36) などの通俗小説を発表後,ニューイングランドの伝統的価値の崩壊を風刺的に描いた『故ジョージ・アプリー』 The Late George Apley (37,ピュリッツァー賞) で認められた。ほかに『ウィックフォード・ポイント』 Wickford Point (39) ,『ビー・エフの娘』 B. F.'s Daughter (46) など。

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